日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
菓子パン生地の発酵に対する異性化液糖使用の影響と生地発酵の促進について
製パンにおける異性化液糖の利用に関する研究(第2報)
田中 康夫川村 三郎小柳 妙小西 修杉山 保江
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1978 年 25 巻 8 号 p. 458-464

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抄録

(1) パン生地の発酵に対するHFCSの影響は15%(flour basis)まではシュクロースとの間に差を生じなかったが,20%以上ではHFCSを使用した生地の発酵低下がシュクロースより著しくなった。
(2) 糖使用量30%の菓子パン生地の発酵において,HFCS使用生地では発酵遅延が認められたが,約3時間後にはシュクロースの発酵レベルに達し,その後はシュクロースを上回った。
(3) シュクロースの一部をHFCSで置換した場合,置換量の増大に伴って発酵の低下が起こり,パンの体積低下が起こった。
(4) HFCSを菓子パンの製造に用いる場合,中種に対し10~15g/70g flour(14.3~21.4%, flour basis)とかなり高濃度に糖を添加する加糖中種法を採用することによって,菓子パン生地の発酵は著しく促進され,パンの体積も顕著に増大された。
(5) この方法によった場合,HFCSを添加した菓子パン生地中のグルコース,フラクトース濃度は焙炉工程まではシュクロース添加生地を上回っていたが,焙炉工程以後では逆転がみられた。

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