抄録
(1) 粉砕の困難な香辛料の代表としてナツメグを試料に選び凍結粉砕法を適用した。
(2) ナツメグの粉砕においては,粉砕機の回転数が最も大きく粉径に関係し,回転数が多いほど粒径は短かくなった。
(3) 同じ回転数であれば,低温であるほど粒径は短かくなった。
(4) 通常のスタンプミル粉砕したものと,凍結粉砕したものとでは,質的にほとんど差が生じなかった。
(5) しかしながら通常の粉砕法ではナツメグ単体では粉砕できない。これはナツメグに油分が多く,粉砕機への付着が生ずるためである。凍結粉砕においても,粉砕温度が-20℃程度では粉体の粉砕機への付着が生じ,粉砕を行なえないが,-40℃まで冷却すれば付着は生ぜず粉砕が可能であった。
(6) したがって,こうした油分含量の多い砕料の粉砕においては,粉体の付着力と温度の関係が粉砕効力に大きな影響を与えることが認められた。
(7) 凍結粉砕機に起因する重金属類の増加は認められなかった。むしろスタンプミルにおいての方が鉄含量に増加が認められた。
(8) 凍結粉砕による生菌数の変化は認められなかった。