日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
鶏卵卵黄蛋白質成分の加熱変化について
筒井 知己小原 哲二郎
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1980 年 27 巻 1 号 p. 7-13

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抄録

鶏卵卵黄を超遠心分離して得たLDL,リベチン, HDLの加熱による変性を濁度,粘度, Disc電気泳動,ゲルロ過から検討した結果を要約すると次の如くである。
(1) LDL,リベチン, HDL各溶液を加熱すると,リベチンは60℃以上, LDLは65℃以上, HDLは80℃以上で透過度が急激に減少した。
(2) 卵黄溶液を加熱すると,粘度は温度の上昇につれて徐々に増加したが, 80℃以上では5分間加熱物が1.5分間加熱物よりも粘度の増加が著しかった。
(3) LDLリベチン, HDL各溶液を加熱すると,リベチンは,加熱温度の上昇にともなう粘度の大きな増加は認められなかった。一方LDL, HDLは80℃以上で粘度が著しく増加し, HDLは卵黄構成成分中,最も高い粘度を示した。
(4) 卵黄を加熱すると, Disc電気泳動で主にRf0.1~0.16の蛋白質バンドが変化した。HDLは85℃以上の加熱で,主要蛋白質バンドが減少した。一方LDLは80℃以上の加熱であらたな蛋白質バンドが出現した。
(5) 卵黄溶液, LDL溶液およびHDL溶液を60℃, 5分間加熱した際のゲルロ過の結果は,未加熱のパターンに比べて変動が認められ, LDLでは凝集物の小ピークが出現した。

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