日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
鶏肉の部位及び包装方法と保存性の比較
森 高明
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1980 年 27 巻 11 号 p. 579-584

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抄録

鶏のもも正肉及び胸正肉と,正肉から皮及び脂肪を除いたもも肉及び胸肉を低密度ポリエチレンの袋に密封し,約5℃に保存したときの部位別保存性と真空包装の効果について検討した。
(1) 皮及び脂肪が付いた正肉の状態ではももと胸の部位による保存性の差や,真空包装の効果は認められなかった。
(2) 皮及び脂肪を除いたもも肉も真空包装の効果は認められず,もも正肉及び胸正肉と同じように,保存9日後に腐敗臭が発生した。皮及び脂肪を除いた胸肉はもも肉より保存性がよく,低密度ポリエチレンの袋でも真空包装の効果が認められた。
(3) もも正肉及び胸正肉は中温細菌数107~108,アンモニア性窒素生成量18~23mg%になって腐敗臭が発生した。しかし,皮及び脂肪を除いたもも肉及び胸肉は中温菌数109~1011,アンモニア性窒素生成量28~34mg%になって腐敗臭が発生し,皮及び脂肪は腐敗臭を発生しやすいと思われた。
(4) 胸肉はもも肉に比較して菌相の変化が遅かったが,真空包装した保存12日後の胸肉は腐敗臭を感じなくても分離細菌はPseudomonasMoraxellaのみであり, Pseudomonasが優勢で,鶏肉の風味が失われていた。

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