日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
抗酸化物質として蛋白質加水分解物をビスケットへの応用
山口 直彦内藤 茂三横尾 良夫藤巻 正生
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1980 年 27 巻 2 号 p. 56-59

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抄録

塩酸による卵白加水分解物及び7種の酵素による大豆蛋白質加水分解物添加ビスケットの酸化安定性を試験した結果は次のとおりである。
(1) ビスケットに対し塩酸による卵白加水分解物を0.25~5%の範囲内で添加した結果,各試験区ともに著しい酸化安定性の向上が認められ,その効力は添加量とともに顕著に増大した。なお1%以上の添加区にはかっ色化現象が認められた。
(2) 7種の酵素による大豆蛋白質加水分解物を1及び3%の割合でビスケットに添加した結果,いずれの試験区にも酸化安定性の向上が認められた。その効力は加水分解率と関係があり,分解率20%前後の加水分解物の抗酸化力は分解率5~6%の加水分解物と比較して著しく強い。また, 1%添加区に比して3%添加区ビスケット区の酸化安定性は顕著な向上を示した。さらに, 3%添加ビスケット区には,かっ色化現象が認められた。

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