1981 年 28 巻 1 号 p. 41-47
3℃で冷蔵した大豆(新大豆)と,40℃,RH 75%で30日間貯蔵した大豆(古大豆)を試料として,電解還元処理が大豆の豆腐加工適性に及ぼす影響を検討し,つぎの結果を得た。
(1) 古大豆のNSIは,新大豆に比べてかなり低いが,攪拌抽出時に電解還元処理を施すことによって,新大豆に近い値まで向上することが認められた。
(2) 脱脂した古大豆の水抽出液のSH基は,新大豆に比べて少ないが,同抽出液を電解還元処理することによって,新大豆よりも多くなることが認められた。
(3) 脱脂した古大豆の水抽出液の7S成分に対する11S成分の比率は,新大豆に比べて小さいが,同抽出液を電解還元処理することによって,かなり復元されることが認められた。
(4) 古大豆で製造した絹ごし豆腐は,新大豆で製造したものに比べて,水分が多く,タンパク質と遊離アミノ酸が少ない,やわらかい豆腐になる傾向があったが,浸漬中に電解還元処理を施した古大豆で製造した絹ごし豆腐は,新大豆で製造したものにほぼ近いことが認められた。
(5) 絹ごし豆腐中のタンパク質含量がほぼ等しい場合には,古大豆で製造したものよりも,浸漬中に電解還元処理を施した古大豆で製造したもののほうが,かたいことが認められた。