抄録
前報では,各種デンプン糊化液,脱脂粉乳水溶液,牛乳,トマトジュースなどの流動特性の測定を行なってきた。本報では,食品の主要成分である砂糖などについて流動特性の測定をし,混合をした場合にどのようになるかを調べていけば,各種液状食品の流動特性を,成分表から推察できるようになると考えて,砂糖,食塩と,これらを混合した脱脂粉乳水溶液の流動特性の測定を行なった。いずれも本実験条件ではニュートン流体として取り扱えることが分った。ニュートン流体における粘度に相当する粘性パラメータK(g/cm・sec)は,温度t(℃),濃度S(wt%),混合率x(-)により変わる値として得られた。
Kの値を表わす温度関係式として,ANDRADEの式が適用できた。砂糖,食塩ならびに脱脂粉乳水溶液に対して,ANDRADEの式におけるパラメータを濃度関係式として表わし,次に示す結果を得た。
砂糖水溶液(S=0~30wt%, t=10~50℃):K=10(-1.17×10-2S0.93-4.98)exp〔(10.7S1.14+2.02×103)/(t+273.2)〕
食塩水溶液(S=0~24wt%, t=10~50℃):
K=10(3.05×10-3S1.39-4.88)exp〔195×103(t+273.2)〕
脱脂粉乳水溶液(S=0~15wt%. t=10~50℃):
K=10(-8.98×10-3S1.59-4.99)exp〔(20.7S1.31+2.02×103)/(t+273.2)
砂糖,食塩,脱脂粉乳の2成分または3成分の混合水溶液に対しては,次に示す結果を得た。
K=(kSxS+kNxN+kMxM)(1-3.4×10-3xSxM-8.4×10-3xNxM-4.2×10-3xSxN+1.67×10-2xSxNxM)+2.7×10-3xSxM+7.1×10-3xNxM+3.8×10-3xSxN-1.26×10-2xSxNxM
ただし,St=SS+SN+SM=0~15wt%,t=10~50℃
ここで,添字S,N,Mは,砂糖,食塩,脱脂粉乳を示す。kS, kN, kM(g/cm・sec)は,砂糖,食塩,脱脂粉乳水溶液の濃度が,それぞれStのときのKの値である。