日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
α化米の物性と食味特性について
α化食品に関する研究(第3報)
新井 貞子澤山 茂川端 晶子谷村 和八郎小原 哲二郎
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1981 年 28 巻 8 号 p. 444-450

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抄録

うるちα化米およびもちα化米の調理科学的特性を明らかにする目的で,各精白米を対照とし,物性の測定と食味の官能評価を行い,次のような結果を得た。
(1) 試料の糊化度は,うるちα化米は79.2%,もちα化米は95.8%であった。
(2) 米粉のアミログラフィの結果,うるちα化米は65℃あたりより粘度は増加するが,立ち上がりはゆるやかであり,ブレークダウンはみられなかった。糊化度の高いもちα化米は,測定開始直後に最高粘度を示す特異なアミログラムを示した。
(3) 米飯のテクスチャー特性では,うるち,もち米ともに,α化米は精白米よりも硬く,凝集性も大であった。粘りはうるち米よりももち米が大きく,両者ともα化米は精白米よりもやや大きかった。
(4) 米飯の静的粘弾性について,クリープ曲線を解析した結果,いずれの試料も,フックの弾性率,2組のフォークトの粘弾性体およびニュートン粘性体の6要素模型で示すことができ,弾性率は105~106dyn/cmcm2,粘性率は107~1010poiseであった。瞬間弾性率はうるち米,もち米ともに,α化米は精白米よりも大であり,定常流動部の粘性率はもち米はうるち米に比べてかなり大きかった。
(5) 米飯の食味特性について,7点嗜好尺度法による官能評価の結果,うるちα化米は,粘り,硬さおよび総合評価において,うるち精白米よりも高い評点を得た。また,もちα化米は,粘りと硬さで,もち精白米よりもやや高い評点を得た。しかし,うるち・もち米飯ともに,外観については,α化米は,精白米よりも低い評点を得,好まれない傾向が認められた。

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