日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
中間水分食品技術の菓子類への応用
果実砂糖づけの品質改良
飯山 一伸石井 幹郎
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1982 年 29 巻 9 号 p. 543-546

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抄録

糖組成の変更による果実砂糖づけの保存性向上効果について検討した。
得られた結果は次のように要約される。
(1) ショ糖の代りにブドウ糖,転化糖など低分子糖を使用することによりAwを低下させ,カビ発生防止に著しい効果を認めた。官能的(食感・風味)にはブドウ糖より転化糖を使用した方が好ましかった。
(2) 糖液寒天培地上での砂糖づけ発生のカビ(Penicillium属の一種)の発育最低Awは0.799であった。
(3) 従来のショ糖を転化糖50%使用の糖液による製造に切り換えたところ,水分含量が多い場合があるにもかかわらず,Awはカビ発育最低Aw 0.799未満に低下し,カビの発生を全く認めなくなった。しかし,製造中の過度の加熱でAwが極めて小さくなったもの(0.570)では苦味による品質劣化が発生した。
(4) 品質検査結果のデータより,品質保証のためのAwの規格値及び目標値を設定した。
規格値:0.570~0.789
目標値:0.634~0.776(x±1σ)

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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