日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
鮮魚の鮮度低下に伴うK値の変化と総脂質の劣化について
鮮魚の鮮度と変敗について(第1報)
橋口 亮鈴木 和威松本 文夫
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1984 年 31 巻 1 号 p. 1-9

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抄録
(1) マアジ,アナゴのK値をみると,保蔵最終日(5日)でも20%以下と低く,官能検査からも刺身としての使用が可能であった。またこの時の総脂質の劣化状況をみると,AV, POV, TBAVとも低かった。
(2) カマス,マサバ,マルソウダ,サバフグ,ホウボウの保蔵3日をみると,K値は20%前後に増加したが,AV, POV, TBAVともあまり増加せず,かつ官能検査からも刺身としての使用に該当した。しかし保蔵最終日(5日)ではカマス,マサバ,サバフグ,ホウボウではK値が40%と増加し,それに伴いAV, POV, TBAVとも若干高い値を示した。また官能検査からもやや劣化を示したが,総合的にみて煮焼き用として使用可能であった。しかしマルソウダのみ最終的にK値が54%に達し,AV, POV, TBAVともやや高く,官能検査からも初期腐敗に該当した。
(3) 総脂質の脂肪酸含量と脂肪酸組成をみると,各魚種間による差異がみられたが,経時変化に伴う差異はあまりみられなかった。
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