日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
西洋わさび粉,芥子粉の抗酸化力について
天然抗酸化物質に関する研究(第6報)
山口 直彦加納 正男池田 公子木島 勲
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1984 年 31 巻 2 号 p. 114-119

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抄録
西洋わさび粉,芥子粉の抗酸化力及びトコフェロール製剤に対する相乗性を試験し,次の結果を得た。
(1) 芥子粉は西洋わさび粉に比較して強い抗酸化力を示した。
(2) 酵素ミロシナーゼを失活し,アルキル芥子油の生成を抑えると,芥子粉,西洋わさび粉の双方に抗酸化力の増大が認められた。
(3) 芥子油配糖体の主成分であるシニグリンには抗酸化力が認められるが,その効力は弱い。
(4) 芥子粉の脂質は抗酸化力を示さなかった。しかし,脱脂によって,芥子粉の抗酸化力は約2倍の増大が認められた。
(5) 芥子たんぱく質は芥子たんぱく質分離液より抗酸化力が強い。しかし,芥子たんぱく質は芥子粉より効力が弱かった。
(6) 芥子粉(加熱)はトコフェロール系抗酸化剤の2倍以上の抗酸化力を示した。
(7) 芥子粉(加熱)は味そとは相加的に,トコフェロールとは相乗的に作用し,抗酸化力の著しい増大が認められた。
(8) 芥子粉(加熱)を添加したビスケットを試作し,保存試験を行った結果,芥子粉添加ビスケット中のラードの酸化安定性は著しく向上した。
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© 社団法人 日本食品科学工学会

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