日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
ワカメ藻体の煮熟に伴う不溶性アルギン酸の可溶化と性状の変化
加藤 節子佐藤 孜郎
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1984 年 31 巻 4 号 p. 236-240

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抄録

ワカメを煮熟した場合の藻体中の不溶性アルギン酸の変化を質的および量的の両面から検討した。その結果,煮熟に伴い不溶性多糖類は順次水溶性に転化することが確認された。これらの多糖類の95%あるいはそれ以上はアルギン酸で占められ,そのうちの90%あるいはそれ以上が酸不溶性のアルギン酸であった。そして,煮熟に伴い酸可溶性のアルギン酸が増加するのが認められた。水溶性に転化したものの金属組成をみると,煮熟初期では煮熟前の水溶性画分のそれに類似し,煮熟が長くなると不溶性画分本来のパターンに接近し,残留する不溶性画分はCaが著しく増大した。
不溶性ならびに可溶化両画分いずれも煮熟に伴い重合度が低下した。しかしながら,熱重量分析により求めた活性化エネルギーおよび,パルスNMRにより測定した結合水は煮熟前後で,それ程の変化がみられなかった。

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