1984 年 31 巻 4 号 p. 241-247
ソルダムスモモを20℃と30℃に貯蔵し,貯蔵中の果実内蛋白質をポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動法を用いてそのプロテインパターンを調べ,高温(30℃)貯蔵における蛋白代謝に関する生理的意義を明らかにしようとした。
収穫期で得られたプロテインバンドは12個であり,熟期(未熟,適熟,完熟)の差異は認められなかったが,バンドの相対的濃度は若干異なった。適熟期の果実を貯蔵した結果
(1)20℃では一時バンド濃度は高くなるが,7日以後はほとんど消失した。
(2)30℃では11日間同一パターンで推移し,バンド濃度は高くなる傾向が認められ,新たに出現するバンドもみられたが,15日後ではほとんどのバンドが消失した。
(3)30℃から20℃へ貯蔵するとバンドは消失し,20℃から30℃へ貯蔵するとバンドの再成傾向がみられた。
完熟期の果実を30℃に貯蔵した場合,4日後でバンドの消失が起こり,7日後になるとほとんど消失した。
以上の結果から蛋白代謝と果実の貯蔵温度との間に密接な関係のあることがわかった。