日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
米飯粒のテクスチャーとその老化にともなう変化の検討
多重バイト試験による米飯粒の物性の検討と食感との関連(第1報)
辻 昭二郎
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1985 年 32 巻 6 号 p. 386-390

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抄録
多重バイト試験により,米飯粒の不均一なテクスチャーをうるちおよびもち米飯について解析した。比較のため,既報の米飯レベルの圧縮およびバイト試験もあわせて行い,両米飯の食感との関連および老化にともなう変化を検討した。すべての測定は米飯粒5粒について行った。
(1) 流体に適用する多重バイト試験は固体にも応用でき,米飯粒の外層部と内層部のテクスチャーの差を推定するのに極めて有用であった。
(2) 米飯粒のテクスチャーは不均一であり,もち米飯はうるち米飯に比し外層部がとくにやわらかいことが示された。これはもち米飯特有の食感とも関連している。
(3) バイト試験でも同様にもち米飯がうるち米飯に比し外層部がやわらかい傾向が示された。また,もちとうるち米飯の食感の差や老化にともなう変化もfractuabilityや既報のF.I.で示しうる。
(4) 圧縮試験によるもちとうるち米飯などの実用的な測定の場合,一点測定では低い圧縮率の測定が有用である。
(5) 米飯の放置にともなう変化の程度は米飯粒の外層部と内層部では異なることが推定された。24時間放置後の硬化は外層部が大きく,とくにもち米飯ではこの変化が大きかった。
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