日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
流下法による繊維状大豆タンパク質の中和条件とタンパク質溶出量
阿彦 健吉堂迫 俊一本多 芳彦井筒 雅川村 貞夫種谷 真一十河 幸夫
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1986 年 33 巻 11 号 p. 764-768

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抄録

(1) 酸凝固させた径0.8mmの大豆タンパク質の糸状凝固物を室温で中和固定化すると,pH 4~6の酢酸ソーダまたは第二リン酸ソーダ溶液は等電点付近にまで数分間で中和したが,同じ条件で食塩水は長時間を要した.
(2) 食塩水を用い,加熱して中和固定化すると,加熱温度50~80℃,加熱時間2.5~10分間の範囲で,高温,長時間の方がタンパク質溶出量が増加した.
(3) 食塩水がpH 4.5のとき,または加熱温度50℃のとき,食塩濃度2.5%で有意にタンパク質溶出量が少なかったが,pH 6.5,または加熱温度65℃の条件下ではタンパク質の溶出量は食塩濃度に無関係であった.
(4) 以上の結果から,食塩水による加熱中和固定化においては,pH 6.5の5%食塩水中で70℃ 10分間浸漬することが実用的と思われた.

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