日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
魚醤の製造段階における揮発性酸の生成
サンセダ ノーリタ倉田 忠男荒川 信彦
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1986 年 33 巻 4 号 p. 285-290

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抄録

フィリッピン産魚醤パティスの製造過程における揮発性酸の消長について調べるため,仕込み後3ヵ月,4ヵ月,10ヵ月および15ヵ月のパティス試料について揮発性酸の含量をGC分折等により測定した.また,実験室規模での魚醤製造を試み,その製造中間段階で得られる試料について同様の検討を行った.その結果,低分子揮発性酸は製造開始後24時間ですでにその生成が認められ,かつ,魚全体または魚肉部分よりは内臓部分からの生成量が大であった.また,時間の経過と共に生成する酸の種類生成量ともに増加する傾向がみられた.さらに,市販パティス中に同定された各種の揮発生酸は,製造開始後3ヵ月の試料中にすべて含まれていることが明らかになった.なお,食塩無添加時の揮発性酸の生成量は食塩添加時に比較して著しく増加していた.これらのことは,揮発性酸の生成に微生物が関与していることを示唆している.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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