日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
カンキツ果皮中のイソプレノイド関連物質の季節的変化
沢村 正義坂東 明子太田 宣幸楠瀬 博三
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1986 年 33 巻 8 号 p. 566-571

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抄録
生食用として早生ウンシュウミカンと中晩柑類および酸用カンキツなど9品種のカンキツ果皮中のイソプレノイド関連物質について,その季節的変化を検討した.
(1) クロロフィル総量は,一般に幼果期に8~15mg/100gであり,成熟に伴い減少した.クロロフィルaとbの割合は全時期ほぼ等量で推移した.
(2) カロテノイドはウンシュウミカンとポンカンで11月期以降急激に増加し,それぞれ12, 8mg/100gまでに達した.一方,ブンタンおよび酸用カンキツでは2mg/100g以下と少なく,成熟期には減少傾向を示した.
(3) α-トコフェロールはアルベドよりもフラベドに多く存在した.ほとんどの品種では9月期にもっとも多く,5~9mg/100g含まれていた.ウンシュウミカンでは11月期にもっとも多く,約17mg/100gであった.
(4) β-シトステロールは,品種,生育時期を問わず,10~40mg/100gと果皮に多く集積していた.とくに,9月期のブンタン,7月期のポンカン,ナツミカン,イヨカン,ブンタンおよび11月期のウンシュウミカンでは,30~40mg/100g含まれていた.カンペステロール含量は全供試試料を通じて3~8mg/100gの範囲にあった.ほとんどの品種のカンキツでは,生育に伴い減少傾向を示したが,ウンシュウミカンでは生育後期に増加し,6.4mg/100gに達した.
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