日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
Penicillium caseicolumを用いた大豆乳からのチーズよう食品の熟成中における蛋白質とプロテアーゼ活性の変化
福家 洋子松岡 博厚
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1987 年 34 巻 12 号 p. 826-833

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抄録

加熱大豆乳から乳酸発酵によりカードを形成し,P.caseicolumをスターターとし,熟成を行い,熟成中の蛋白質およびプロテアーゼ活性の変化について検討した.
(1)熟成は順調に進行し,熟成2週目には全窒素に対する水溶性窒素の割合は約60%に達した.水溶性窒素成分のうち,遊離アミノ酸などの低分子成分は約30%,比較的高分子の窒素成分が約70%であった.
(2)カード蛋白質の変化を電気泳動により調べた結果,熟成にともない,7Sおよび11Sグロブリンの各サブユニットは変化し,分解することが認められた.11Sグロブリンの塩基性サブユニットの変化は小さく,3週間の熟成でも残存していた.
(3)カード内のエンドペプチダーゼ活性,アミノペプチダーゼ活性および酸性カルボキシペプチダーゼ活性はいずれもかびがカード表面を被覆する熟成1週目より認められ,熟成にともない上昇した.また,酵素活性は,カード外層部より内層部に移行することが認められた.
(4)カード内に存在したエンドペプチダーゼ,アミノペプチダーゼを部分的に精製し,小麦麸培地から抽出,精製したP.caseicolumの菌体外プロテアーゼと比較した結果,カード内のプロテアーゼはP. caseicolumの産生する菌体外酵素であることが確認された.

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