日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
二軸エクストルーダーによる食品素材の製造
繰返し押出しによる蛋白変化
五十部 誠一郎野口 明徳
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1987 年 34 巻 7 号 p. 456-461

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抄録

2軸エクストルーダーを用いてDSFの繰返し押出しを行い,得られた生成物の強度,微細構造,蛋白変化を検討した.
(1) 130℃処理では繰返し処理による加熱時間(反応時間)延長でも,十分な「組織化」は認められない.したがって,「組織化」に必要な第1要因は処理温度であると考えられ,その下限温度が140℃付近にあると思われる.
(2) 繰返し処理に伴う140℃の状態で組織化の促進,150℃における強度低下より,反応時間が「組織化」における第2要因であると考えられる.
(3) 繰返し押出しでもほぼ同様の繊維状構造を持つ押出し物が得られたことから,大豆蛋白の熱可塑性が示唆され,この性質を利用することでプラスチックス分野で多用されている射出成形技術の考えを導入し,より大型で複雑な生成物が期待できる.
(4) 繰返し押出しに伴う熱処理時間延長にもかかわらずアミノ酸の損失はほとんどない.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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