日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
ポリプロピレンフィルムへの香気成分の収着
池上 徹下田 満哉筬島 豊
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1988 年 35 巻 7 号 p. 457-463

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抄録

40種類の揮発性化合物を含む試料容液をパウチポリエチレンテレフタレート(PET)/アルミ箔(Al)/未延伸ポリプロピレン(PP))に充填し,各種香気成分の収着に及ぼすフィルム特性及び香気成分の分子構造の影響について検討した.
(1) 各化合物の分配比(内面フィルム中の量/内容液中の量)は官能基の種類により大きく影響をうけた.テルペン炭化水素類が最大であり,ポ次いでエステル類,ア収着されにくいことが明らかとなった.
(2) 各同族列(エステル類,アルデヒド類)では,炭素数と分配比の対数値との間に良好な直線関係が存在し,香気成分の炭素数が2個増えるごとに分配比は約10倍になった.しかしながら,炭素数10以上では直線関係は認められず,このことはフィルムへの香気成分の溶の際の立体的障害によるものと考えられた.(3) PPとPEについて溶解度係数と拡散係数を比較すると, PPの方が溶解度係数が大きく,平衡に達した後にはフィルムへの収着量が大きかった.一方,拡散係数はPEの約20分の1であり,香気成分の収着はPEに比べてゆっくりと進行する.

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