低食塩の塩漬大根を,脱酸素剤と窒素ガスを併用した環境下で11月中旬より8月下旬までの280日間貯蔵し,その間の漬液の成分と微生物相の変化をしらべた.
上記の条件で,好気性グラム陰性細菌の生育は完全に抑制され,亜硝酸イオンの生成は認められなかった.貯蔵の前半は乳酸菌が増殖し酵母の増殖を抑え,リンゴ酸の減少と乳酸の増加が認められた.貯蔵の後半に乳酸菌がほとんど死滅した後,品温の上昇と共に酵母が急激に増加し,糖の消費を伴ってアルコールの増加が認められた.
貯蔵期間中,塩漬大根は鮮やかな黄色を保持し, 8月末の280日貯蔵後もよい品質を保った.