日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
そば製麺中におけるルチンの酵素分解
小原 忠彦大日方 洋村松 信之大池 昶威松橋 鉄治郎
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1989 年 36 巻 2 号 p. 121-126

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抄録

そば粉の鑑別法にルチン分析法を応用する目的で,製麺工程中におけるルチンの消長について検討した.
(1) そば粉と小麦粉の混合系では,ルチンの測定からそば粉配合比率の推定は可能であった.
(2) そば粉と小麦粉に水が加わり,製麺される工程でルチンは一部減少することがわかった.また,この減少は,加水量や麺の放置時間の影響を受けることがわかった.
(3) 加熱殺菌そば粉とγ線殺菌そば粉を使った製麺試験により,ルチンの減少がそば粉中のルチン分解酵素系によることがわかった.
(4) HPLC により,ルチンの減少と分解生成物であるケルセチンの増加が認められた.
(5) そば粉の水抽出液を粗酵素液とした場合,ルチン分解活性は, 60℃,15分の加熱処理で失活した.
(6) そば粒中では,ルチン分解活性は,胚乳部には少なく,胚芽や甘皮部分に多いことが認あられた.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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