日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
煮豆用原料大豆の評価
香西 由紀夫平 春枝田中 弘美斎藤 昌義宗形 豊喜
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1989 年 36 巻 2 号 p. 132-141

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抄録

(1) 煮豆適性試験をオオツル(長野産・群馬産)・エンレイ(長野産・群馬産)・タマホマレ(群馬産)・ホウレイ(長野産)について比較検討した. また,これらのうち,群馬産オオツル・同エンレイ・同タマホマレについては煮豆製造試験を行ない,官能試験・経時的色調変化より,製品の品質を検討した.
(2) 成分組成は,オオツルは遊離型全糖・全カロチノイドの高含量が認められ,エンレイではタンパク質の高含量(群馬産)と脂質・遊離型全糖に低含量の傾向がみられた.一方タマホマレでは,タンパク質の低含量・脂質・全糖・遊離型全糖の高含量がみられ,ホウレイでは遊離型全糖・全カロチノイドの低含量が特徴的であった.
(3) 加工適性ではオオツルの極大粒,低発芽率,高浸漬液中溶出固形物量が認められた.また,蒸煮大豆重量増加比はエンレイよりかなり小さいにもかかわらず,蒸煮大豆のかたさはエンレイとほぼ同程度であり,かたさの変動(バラツキ)も小さいことが認められた.蒸煮大豆のかたさはホウレイがかなり硬く,かたさの変動(バラツキ)が特に大きいことが認められた.蒸煮大豆の皮うきはエンレイが多かった.蒸煮大豆の色調はオオツルの低a値,高b値が特徴としてみられた.
(4) 煮豆製品の官能試験結果においては,一般パネル・専門パネル共に,オオツルの外観・味・かたさの評価に高い値が得られた.また,エンレイの皮むけ・しわ・色調に低い評価が,タマホマレのかたさに低い評価が特徴として認められた.総合評価においても,両パネル共にオオツルの評価が最も高く,有意差として認められた.
(5) 煮豆の色調においては,明るさはタマホマレ,オオツル,エンレイの順で明るく,官能試験結果と同様な傾向がみられた,また,貯蔵中の経時的変化より,エンレイは色調の劣化が大きく,タマホマレの色調の劣化速度は遅く,また,オオツルの黄色みにおいて,短時間で度は遅く,また,オオツルの黄色みにおいて,短時間での減少が認められた

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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