日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
野菜の最適加熱時間の予測
松裏 容子香西 みどり畑江 敬子島田 淳子
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1989 年 36 巻 2 号 p. 97-102

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抄録

先にじゃがいもを試料として軟化速度と最適軟化率から最適加熱時間を予測する方法を報告したが,今回は本法を11種の野菜に拡大適用し,その可否を検討した.
(1) 各試料の最適軟化率が,さつまいも0.98,西洋かぼちゃ0.97,里いも0.96,人参0.88,なす0.82,じゃがいも0.87,大根0.77,かぶ0.74,アスパラガス0.65,ごぼう0.22となった.
(2) なすを除く10種の試料の軟化は一次反応として近似でき, 99.5℃での速度定数は,かぶ1.053,西洋かぼちゃ0.958,さつまいも0.912,日本かぼちゃ0.606,里いも0.452,アスパラガスO.305,じゃがいも0.300,人参0.275,大根0.204,ごぼう0.023(min-1)となった.
(3) 最適軟化率と軟化速度より小片試料の最適加熱時間を予測したところ,ごぼう10.5,人参7.7,大根7.2,里いも7.0,じゃがいも6.8,日本かぼちゃ4.7,さつまいも4.3,西洋かぼちゃ3.7,アスパラガス3.4,かぶ1.3(min)となり,この時間で加熱したものの官能評価はいずれも適度な評点0±0.5の範囲にあった.以上,本予測法は,なすを除く10種の野菜に適用できることを認めた.

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