日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
クッキーのビタミンE強化に有効な α-及び δ-トコフェロールの配合比について
越智 知子土屋 京子青山 稔丸山 武紀新谷 勲
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1989 年 36 巻 2 号 p. 103-107

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抄録

クッキーにTocを添加することにより,ビタミンEの強化と油脂の酸化防止とが期待できるので,その最適なαとδとの添加量及び組成比について検討した.
(1) クッキーのばい焼によるα-Tocの残存率は71.0~79.4%であった.この残存率はα-及びδ-Tocの添加量並びに組成比と関連しなかった.ばい焼による油脂のPVはα-Tocの添加量が少なくなるほど,逆にδ-Tocが多くなるほど低くなる傾向を示した.
(2) 保存中におけるα-Tocの消失率は,添加量が多いほど大きくなる.この消失率もα-とδ-Tocの組成比による相異は認められなかった.保存中におけるPVの変化はα-Tocの添加量が増えると高くなり,逆にδ-Tocの添加量が増えると低くなる傾向を示した.この傾向は,ばい焼時の油脂の酸化と同様である.
(3) Tocをクッキーへ添加してビタミンEを強化し,油脂の酸化を防止するには,そのクッキーを短時日間に食べる場合にはα-Tocは15mg/100g以下とし,これ以上めδ-Tocの添加が必要である.常温で3カ月間保存後に食べる場合にはα-Tocは3mg/100g以下で,これと等量以上のδ-Tocの添加が望ましい.

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