日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
サトイモわせ品種,石川早生の子いもに生じる水晶芋の食品科学的調査
瓜谷 郁三竹内 若子
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1990 年 37 巻 4 号 p. 306-310

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抄録

石川早生の子いもには時折いわゆる水晶芋が見いだされ,親いもとの接触部位(下部)が半透明の状態を示す.その部位の細胞は高張溶液下で原形質分離を誘起し,上部の細胞と同様に生きているが,デンプン粒を持たず,反対に水分を多量に含み,そのため半透明に見えることを知った.蒸煮後には下部は上部にくらべ余りにも軟らかくなり,水晶芋は栄養・食品上,品質が落ちることがわかった.水晶芋では,デンプン粒の有無から下部と上部の比重差を生じ,水に浸漬すると下部を上にして垂直の姿勢をとるが,健全芋は水中で水平の姿勢をとることを見いだし,これを基にして組織を破壊することなく水晶芋と健全芋を識別する簡便法を提示した.サトイモ畑での生育状況とそこから収穫した子いもの観察から,地上部の生育のわるい畑からの子いもに水晶芋が多く発生することを知った.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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