1991 年 38 巻 8 号 p. 668-674
国産ネーブルのうち代表的なワシントン,福本紅,大三島,白柳,森田の5品種の果皮精油成分の香気特性を比較し,5品種の香気の差異を評価する方法を検討した.
3点識別法を用いた官能検査の結果,大三島-森田,白柳-ワシントンの香気が類似し,福本紅は4品種とは区別できた.これらの精油のGCパターン類似率を求めた結果,大三島-森田間の類似率は0.963,白柳-ワシントン間は0.951,森田-福本紅間は0.797であった.また,減次パターン類似率から5品種の精油香気の類似性に影響する成分を推定した.
成分毎のにおいの寄与を検討するため,各成分の濃度およびそのオーダーユニットを対数値で表し,これらを用いて図形化することにより各成分のにおいの寄与度合がより明確に推定できることを明らかにした.