かつお節エキスの抗酸化力について検討し次の結果を得た.
(1) かつお節焙乾工程中のかつお節エキスの抗酸化力を測定したところ,抗酸化力は焙乾中期まで増加するが,中期以降は変化がないことが認められた.
(2) かつお節エキスの抗酸化成分について検討した.エキスを透析膜で透析したところ,抗酸化力は主に透析外液に認められた.透析外液を試料前処理用逆相カラム(YMC-DispoC18,山村化学)により,水とアセトニトリルの混合液でアセトニトリル濃度を段階的に増加させ溶出した.抗酸化力の認められた水溶出画分をHPLCにより分画した.分画した45成分の抗酸化力を測定したところ,約半分の成分に抗酸化力が認められた.しかし,強い抗酸化力を示す成分は認められなかった.
(3) かつお節エキスには,焙乾していない生利節にはないかあっても微量な成分で焙乾により新たに生成されるか増加する抗酸化力を持つ成分がHPLCにより認められた.それらの成分の中で抗酸化力の強い2種の成分のアミノ酸組成を検討した結果,1つの成分はセリン,プロリン,グリシン,アラニン,イソロイシンが主要アミノ酸であった.他方の成分は,アスパラギン酸,セリン,グルタミン酸,グリシン,アラニンが主要アミノ酸であった.
(4) かつお及びかつお節エキスは,まいわし落し身脂質の酸化を抑制した.
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