日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
青梅の貯蔵性に及ぼす環境ガス組成の影響
加地 浩章池辺 哲朗筬島 豊
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1991 年 38 巻 9 号 p. 797-803

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抄録

エチレン等の各種代謝ガスを除去し,酸素を2~3%,二酸化炭素を3, 8, 13, 18%の4段階設定したPCA(Perfectly Controlled Atmosphere)貯蔵法,及び30μm厚のLLDPEフィルムとエチレン・アセトアルデヒド除去剤を併用するフィルム包装貯蔵法を青梅'鴬宿'に対して適用した.環境ガス組成と品質との関係について検討し以下の結果を得た.貯蔵温度は20℃とした.
(1) PCA貯蔵中のエチレン排出は無包装に比べ非常に遅れ,その検出開始は3% CO2区から18%区までそれぞれ15, 19, 23, 23日目であった.
(2) PCA貯蔵,フィルム包装貯蔵ともに顕著な緑色保持効果が認められ,二酸化炭素濃度が高いほど黄化が抑制された.
(3) 貯蔵中,外観的に4種類の障害が発生したが,無包装の場合に認められた障害はPCA貯蔵とフィルム包装貯蔵では抑制された.フィルム貯蔵では19日目に低酸素あるいは高濃度アセトアルデヒドによると考えられる果実内部の褐変が発生した.PCA貯蔵では18%CO2区で二酸化炭素障害が発生したが,13%以下では23日目まで障害の発生は認められなかった.
(4) 貯蔵解除後に流通期間として2日間を要すると仮定すると,鮮度保持期間はフィルム包装貯蔵で12日間,PCA貯蔵3% CO2区及び8%区で15日間,13%区で19日間,そして18%区では12日間と判断された.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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