日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
赤および緑ピーマンから調製したカロテン抽出物貯蔵安定性の比較
石井 智恵美村上 夕子倉田 元子表 美守
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1992 年 39 巻 1 号 p. 106-109

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抄録

赤および緑ピーマンより得られたカロテンの安定性を検討した.(1) β-カロテンの安定性を比較するためにメタノールーエーテル,メタノールーテトラヒドロフラン,アセトンーエーテル,テトラヒドロフランの四種の異なった溶媒を用いて検討した.メタノールーエーテル中でβ-カロテンは一番安定であった.また,アセトンーエーテル溶液中では光による著しい安定性の低下が見られた.(2) 赤および緑ピーマンの凍結乾燥粉末よりカロテンを抽出し,4日間室温に保存した.赤ピーマンより得られたカロテンの4日後の残存率はメタノールーエーテル溶液中で100%であったが,緑ピーマンより得られたカロテンの残存率はアセトンーエーテル中で38%であった.長期保存における安定性にについても検討した.凍結乾燥粉末を25℃で長期保存した結果,カロテンの残存率は赤ピーマンの場合80日後で82%,緑ピーマンの場合は74日後で58%であった.この結果は,カロテン抽出物を4日間保存した結果と同様の傾向を示した.(3) β-カロテンとクロロフィルを用いて行った試験では,アセトン-エーテル溶液中でβ-カロテンはクロロフィル共存下のものが非共存下の場合より安定であった.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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