日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
バイオセンサ法による食品中の亜硫酸の測定
川村 吉也佐藤 猛久保 伸赤野 裕文黒沢 尋中村 和夫天野 義文伊藤 誉志男藤巻 正生
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1992 年 39 巻 3 号 p. 233-238

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抄録

新しく開発された亜硫酸測定用バイオセンサを使用して食品中の亜硫酸分析を行った.結合型亜硫酸を含めた総亜硫酸量の分析は,試料中の結合型亜硫酸を酸性下で加熱して遊離型化することで可能となった.結合型亜硫酸を遊離型に分解する条件は,硫酸濃度0.5Nの酸性条件下, 85℃, 10分間の加熱処理が最適であることが明らかとなった.酸加熱処理を行った場合の総亜硫酸の回収率は, SO2を添加したオレンジジュースで94%,結合型標準試料(グルタルアルデヒド-重亜硫酸付加化合物)で100%であった.実試料として用いた各種食品中の総亜硫酸量を分析し,現在の公定法である改良ランキン法による測定結果と比較したところほぼ一致した値が得られた.バイオセンサによるSO2の最小検出限界は0.1μg/gであった.試料一つ当たりの測定時間は約5分,必要試料量は約3mlであった.以上の結果より,今回検討したバイオセンサによる亜硫酸分析法は十分に実用的であり,改良ランキン法と同様に食品中の亜硫酸の分析に使用可能であることがわかった.また本法は自動化し,多数の検体を短時間で分析することが可能である.

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