キウイフルーツの流通方法改善の資料とするため,市販果実のエチレン生成と追熟の状況を調べた.
(1) 国内産のばら売り,パック売りとも,購入後10日を経過してもエチレンを生成して正常に追熟した果実はほとんどなく,大部分はエチレンを生成しないか生成しても軟腐病によるものであった.
(2) 軟腐病が極めて少なかったニュージーランド産果実では14%の果実がエチレン生成を伴う正常な追熟をしたが,大部分は追熟しなかった.卸売市場から直接購入した果実では購入後35日経過後も数%の果実しか追熟しなかった.
(3) パック包装内部には50ppmを上回るエチレンが検出される例があった. 8.6~57.6μl/kg/hのエチレン生成量を持つ果実を1個を非密封パック内に入れただけでも0.5~5ppmのエチレンが蓄積することが観察された.
(4) 購入10日後,食べ頃の硬さ,酸含量となったのは全購入果実の約40%に過ぎず,しかも大半が軟腐病罹病果であった.