豆腐の力学的性質に影響する諸条件を検討した.プランジャーの形状,試料の形状,測定温度により,応力-歪曲線は変化した.貫入試験における見かけの破断応力はプランジャーの大きさに依存して変わったが,圧縮試験での破断応力は試料の形状に依存しなかった.豆腐が一定の剛性率を示すまでには長時間かかることが示された.以上のことから,豆腐の破壊試験を行う際の注意点は次のようである.
1) 評価値は破断力ではなく,破断応力で示すべきである.また同時に破断歪も示すことが望ましい.
2) プランジャーの形状,試料の形状,圧縮速度,測定温度は条件として必ず記載されなければならない.
3) 凝固してから十分な時間が経過したものを実験に供する必要がある.