日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
39 巻, 8 号
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  • インゲン類を原料とする餡の性状(第1報)
    小林 理恵子, 道川 恭子, 土部 正幸, 渡辺 篤二
    1992 年 39 巻 8 号 p. 657-662
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    豆による生餡の収量,成分収支,練餡の官能検査,物性を調べ,原料による違いを検討し,次のような結果を得た.
    1. 生餡の収量および収率にあまり大きな差は認められないが大白花で流亡成分がやや多いのが認められた.また生餡の水分は60~63%であったが大白花だけは66%と高かった,同一条件で水分が多いということは水がとれにくい,すなわち保水性が高い性質を有することを示していると推察された.さらに大白花の生餡でペクチン含量が他の餡に比べて高いことが注目された.
    2. 練餡の官能検査により試料餡は原料豆の種類によってそれぞれ異なった食感をもっており,「口溶け」のやや良いグループ(大手亡,エリモ小豆)と「口溶け」のやや良くないグループ(福白金時,グレートノ―ザン,大福)に大別された.
    3. 官能検査における「口溶け」および「粘り」について大別されたグループはテンシプレッサーによる繰り返し咀嚼の測定値による種類別グループとほぼ対応した.
    4. テンシプレッサーにおいて,水に対する分散性の良い練餡は口腔内での咀嚼回数,唾液の分泌量が少ないために「口溶け」の良さを感じるものと推定した.
  • インゲン類を原料とする餡の性状(第2報)
    道川 恭子, 小林 理恵子, 渡辺 篤二
    1992 年 39 巻 8 号 p. 663-670
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    前報で試料としたインゲン類の豆のなかで,製餡原料として通常用いられる品種(大手亡)と,得られた生餡および練餡に特異的な性状を示した品種(大白花)を取り上げ,両者の生餡及び練餡の性状に及ぼす製餡条件(加熱時間,加熱温度)の違いの影響を検討することを通じて大白花における特異性の原因を追求した.
    1. 同一条件で調製した生餡の収率は,加熱時間の延長に伴い大手亡,大白花ともに増加したが,加熱温度の上昇に伴って大手亡は減少し,大白花もわずかに増加したのち減少した.いずれにおいても,大白花の方が低い値を示した.
    2. 得られた大手亡,大白花の生餡相互でタンパク質,脂質,灰分含量には大きな差異はみられなかったが,水分含量は大白花の方が高い値を示した.そしていずれの生餡も加熱時間の延長及び加熱温度の上昇に伴って水分含量が増加した.またこのときペクチン含量は加熱時間の延長に伴ってわずかに増加し,加熱温度の上昇に伴って減少したが,いずれにおいても大白花の方が高い値を示した.
    3. 加熱時間を変えて調製したそれぞれの生餡から得られた練餡は,大白花で凝集力のない特異的な性状を示した.しかし,加圧加熱により調製した生餡から得られた練餡では大手亡においても同様の傾向がみられた.これらはいずれも生餡の餡粒子の保水性の増加に伴う現象と考えられた.
    4. 加熱時間を変えて調製した生餡にペクチナーゼ処理を行い,生餡中の水分含量とペクチン含量に対する影響を検討した結果,生餡の水分含量はペクチンの分解により減少すること,この傾向は特に大白花で顕著なことを認めた.そして大白花の特異性の原因は餡粒子の保水性の差異にあり,顕微鏡観察の結果と考え合わせて,これは主として餡粒子の表面に存在するペクチンの量的あるいは質的な違いによるものと推察した.
    5. 加熱温度を変えて調製したそれぞれの生餡から得られた練餡では大白花でみられた特異的な性状が大手亡にもみられた.これは大手亡,大白花ともに餡粒子の表面に存在するペクチンではなく,餡粒子内に存在するデンプンあるいはタンパク質等の高分子物質の加圧加熱による変化に起因するものと考えられた.
  • インゲン類を原料とする餡の性状(第3報)
    小林 理恵子, 道川 恭子, 渡辺 篤二
    1992 年 39 巻 8 号 p. 671-677
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    1. インゲン類を中心に7種類の原料豆で調製した餡について光学および走査型電子顕微鏡でその形状,表面構造を観察した.光学顕微鏡によると餡粒子の大きさは豆の種類によって異なりベビーライマ,グレートノーザンで小さく,大白花では特に大きいことを認めた.また大白花,福白金時で楕円形のものが多く認められたが,他の豆は球形が大部分であった.そして細胞壁様層と思われる周辺部の厚さに差があり大手亡,福白金時,大白花で特に厚く,ベイーライマ,エリモ小豆では厚みが認あられない程度であった.次いで走査型電子顕微鏡でその表面構造を観察すると,いずれも網目状の皺が認められたが特に大白花では皺が深く多くあり,ベビーライマ,エリモ小豆で浅く少ない.これは光学顕微鏡観察の細胞壁様層の厚さの違いと符合した.
    2. 餡粒子の表面は主に細胞壁様層に由来するものと考えられるが,これの構成をみるために大手亡,大白花,ベビーライマを選び,その餡粒子を先ずアルカリまたはマセロザイム(ポリガラクチュロナーゼ)で前処理後セルラーゼ処理を行った.その結果表面の部分が剥離あるいは除去され,内部のタンパク様層およびデンプン粒を認めることができた.
    3. 上記のアルカリ,セルラーゼ処理によって餡粒子の表面部分を除去した後希アルカリ溶液を用いてタンパク様層を除去した結果デンプン粒を分離することができた.デンプン粒は一部ドーナッツ型,ゴムボート型等豆の遊離デンプンの中間糊化段階の形状に似た粒があり,全体的に形が著しく歪んでいた.しかし各粒はほぼ独立した形で分離されており,偏光顕微鏡によると偏光十字は消失していたが一部偏光性を残していた.
  • 松田 秀喜, 長岡 俊徳, 森田 日出男, 筬島 克裕, 筬島 豊
    1992 年 39 巻 8 号 p. 678-683
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    イワシすり身の食品工業用プロテアーゼ(デナチームAP)による加水分解物に含まれるACE阻害ペプチドの単離と配列決定を行って,以下の結果を得た.
    (1) プロテアーゼ加水分解液をODS充填カラムに通し, 10%エタノールで溶出した画分DF-2及び25%エタノールで溶出した画分DF-3には高いACE阻害活性が認められた.
    (2) DF-2をQAE-Sephadex A-25, SP-Sephadex C-25 Bio-Gel P-2,逆相HPLCでACE阻害活性の高い画分を順次分離・精製した結果,多くのACE阻害活性を有するペプチドが含まれていた.
    (3) DF-3をQAE-Sephadex A-25, SP-Sephadex C-25, Bio-Gel P-2,逆相HPLCでACE阻害活性の高い画分を順次分離・精製した結果, 2っのACE阻害ペプチドが含まれていた.
    (4) DF-2及びDF-3からの逆相HPLC分離で高い活性を有していたペプチドDB-1, DB-2, DB-3及びDC-1, DC-2を単離し,以下のアミノ酸配列とIC50を有することを明らかにした.
    DB-1: Tyr-Pro (IC50= 2440μM)
    DB-2: Val-Phe (IC50= 250μM)
    DB-3: Ile-Phe (IC50= 100μM)
    DC-1: Trp-Ile (ICso= 82μM)
    DC-2: Trp-Leu (IC50= 51μM)
  • 綾野 茂, 尾崎 嘉彦, 稲葉 伸也, 三宅 正起, 前田 久夫, 伊福 靖, 長谷川 信
    1992 年 39 巻 8 号 p. 684-689
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    最近,その生理活性が注日されているリモノイドおよびそのグルコサイドのカンキツ種子からのより有効な抽出方法としてSC-CO2抽出法について検討した.その結果,供試試料として脱脂乾燥夏柑種子粉末を用いてSC-CO2抽出したときCO2単独では各リモノイドの抽出率は有機溶媒抽出法に比べ著しく低かった.そこで抽出率の向上を目的として抽出温度,圧力,エントレーナーの併用およびCO2量の条件について実験した.リモノイドの抽出率は抽出圧力とCO2量に大きく依存したが,抽出温度の影響はほとんど受けなかった.各リモノイドの抽出率は抽出圧力を高めるに従い増加し, 300kg/cm2で最大となった.また,エントレーナーとしてはアセトンを添加したとき最も効果的であった. CO2の使用量についてはその使用量が多いほど高い抽出率が得られ,試料重量に対し50倍量のCO2量になるまでの変化が大きかった.最適条件(抽出温度, 60℃;圧力,300kg/cm2;エントレーナー,アセトン3%; CO2量,100g-CO2/g)における各リモノイドの抽出率はノミリン82.1%,オバクノン38.9%,リモニン19.1%,デアセチルノミリン13.9%であった.リモノイドグルコサイドについてはリモニングルコサイドを除き高い抽出率が得られたが,各成分の分画抽出はできなかった.
  • カットキャベッの収穫後生理に関する研究(第2報)
    永田 雅靖, 矢野 昌充, 西條 了康
    1992 年 39 巻 8 号 p. 690-694
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    10℃で貯蔵したカットキャベツの呼吸,エチレン生成速度, 1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(ACC)含有量およびACC合成酵素活性の変化を調べた.さらに,それらに対するアリルイソチオシアネート(AITC)の影響についても調べた.
    対照区のカットキャベツの呼吸速度は急激に上昇したが,キャベツ100gあたり2.5mg以上のAITCで処理した試料の呼吸は抑制された.対照区のエチレン生成速度, ACC含有量, ACC合成酵素活性は貯蔵に伴って顕著に増加したが, AITCはそれらの増加も同様に抑制した.
    切断直後にキャベツ100g当たり5.0mgのAITCを処理すると, 72時間までカットキャベツのエチレン生成とACC合成酵素活性は,ほぼ完全に抑制されていた.しかし,はじめに無処理の試料を72時間インキュベートしてエチレン生成速度を高め,その後同様のAITC濃度で処理した場合には,エチレン生成とACC合成酵素活性は対照区の58%と32%残存していた.
    これらの結果から, AITCはエチレン生成に対して直接のみならず間接的にも抑制する作用をもつために,カットキャベツのエチレン生成に対して強力な阻害効果を示すものと考えられた.
  • 黄 相軍, 半沢 保, 酒井 昇
    1992 年 39 巻 8 号 p. 695-701
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1)高真空缶詰の加熱殺菌において,封入した少量の水から発生した水蒸気により,また,その巻締め絶対圧力を適当に調節することにより,従来法と同じか,あるいはそれ以上の迅速な加熱結果を得られることがわかった.
    (2) 迅速加熱するために,水蒸気発生のための最適な水量が存在し,空間比表面積という概念で,その相関式を得た.
    (3) 缶内昇温速度は,巻締め絶対圧力の増加とともに減少した.また,内容物の表面熱伝達係数hと,巻締め絶対圧力との相関式を得た.
  • 藤井 建夫, 新国 佐幸, 飯田 遙
    1992 年 39 巻 8 号 p. 702-706
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    市販しょっつる4試料の化学成分とそれらを30℃に1ケ月間貯蔵した際の腐敗性について比較した.供試4試料は食塩濃度26.2~30.4%, PH 4.54~5.56,総窒素301~1598mg/100ml, VBN 36.2~170mg/100ml,生菌数不検出~5.9×105/mlで品質にはかなりの差がみられた.これらのうち貯蔵中に腐敗がみられたのは1試料のみで,この製品のPHは5.56であった.腐敗を生じなかった3試料のうち2試料はPH 5.02と4.54と低かった.またこれら2試料からはレブリン酸が検出された.残りの1試料のアミノ酸,有機酸等の含量は他に比べて著しく高く,それらの組成も大きく異なった.不揮発性アミンはにの1試料を除いては低含量であった.
  • 松橋 鉄治郎, 石澤 広明, 松澤 恒友, 深井 洋一, 中村 昌子, 竹内 正彦, 花澤 貢一
    1992 年 39 巻 8 号 p. 707-714
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    1. 2軸エクストルーダ加工したEX粉を普通ソバ粉に配合することにより,「100パーセントそば」の乾そばが製造できることを工場規模の実験で明らかにした.
    2. EX粉の適吸水率は普通ソバ粉の約1.5倍であった.手作業的な適加水率と結着性の良否は,小ビーカによる簡便法により,機械製麺の適加水率と結着性はファリノグラフ・シグマ型ミキサー試験により判別できた.さらにEX粉を含むそば生地(麺帯)が一種のゴム状弾性を有することも定性的に示した.
    3. 機械製麺にかかわる配合の一例として, EX粉対普通ソバ粉の配合比で(4:6)ないし(5:5),加水率35%が良いことを明らかにした.
    4. 100~200℃エクストルージョンにおいて圧力は,150℃以下の中間温度域で最大値を示し,このような温度・圧力条件がEX粉の結着性に良い影響をおよぼした. EX粉の結着性は,デンプンのアルファ化とタンパク質の変性によることを推論した.
    5. 試製品のゆで条件は,浴比(1:10),ゆで時間5分が適当であった.ゆで溶出について,手打ちそばや市販乾そばのものと比較し,考察した.
  • 神山 かおる, 西成 勝好
    1992 年 39 巻 8 号 p. 715-721
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    豆腐の力学的性質に影響する諸条件を検討した.プランジャーの形状,試料の形状,測定温度により,応力-歪曲線は変化した.貫入試験における見かけの破断応力はプランジャーの大きさに依存して変わったが,圧縮試験での破断応力は試料の形状に依存しなかった.豆腐が一定の剛性率を示すまでには長時間かかることが示された.以上のことから,豆腐の破壊試験を行う際の注意点は次のようである.
    1) 評価値は破断力ではなく,破断応力で示すべきである.また同時に破断歪も示すことが望ましい.
    2) プランジャーの形状,試料の形状,圧縮速度,測定温度は条件として必ず記載されなければならない.
    3) 凝固してから十分な時間が経過したものを実験に供する必要がある.
  • 安井 明美, 永井 利郎, 小泉 英夫
    1992 年 39 巻 8 号 p. 722-725
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    野菜およびその加工品中のシュウ酸イオン,硝酸イオンおよび硫酸イオンの定量にノンサプレッサー型のイオンクロマトグラフ法(電気伝導度検出)を適用した.分析カラムはTSKgel IC-Anion PW,溶離液は30mMホウ酸-1.3mMグルコン酸-1.3mM四ホウ酸ナトリウム-10%アセトニトリル-0.5%グリセリン(pH 7.6)が適当であった.硝酸イオン,硫酸イオンおよび遊離型シュウ酸はホモジナイズした試料から水で抽出し,全シュウ酸は1%塩酸で抽出し,水で5倍に希釈したものをイオンクロマトグラフに注入した.本法をホウレンソウおよびタケノコ水煮に適用した.
  • 杉沢 博, 中本 英喜, 楊 栄華, 田村 啓敏
    1992 年 39 巻 8 号 p. 726-732
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    PTC-GC分析でC5~C20のn-パラフィンの分析を行った結果, C5~Cl9の範囲でRI値の算出が可能なことが明らかになった.またアルデヒド類,アルコール類,16成分のモデル化合物についてGC及びPTC-GC分析を行い,その結果を比較したところ,直接導入GC分析と同様にPTC-GC分析においてもRI値が高精度で,かつ再現性良く算出できることが明らかになつた.定量値についても再現性は直接導入GC分析とほぼ同様であるという結果が得られた.しかしPTC-GC分析は高沸点成分及び極性の強い化合物の回収率が低いことが示された.
  • 吉岡 博人
    1992 年 39 巻 8 号 p. 733-737
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
  • 芝崎 勲
    1992 年 39 巻 8 号 p. 738-745
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 太田 静行
    1992 年 39 巻 8 号 p. 746
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 太田 静行
    1992 年 39 巻 8 号 p. 747
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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