1992 年 39 巻 9 号 p. 790-795
紅麹の降圧作用物質と作用機序を解明する研究の一環として,菌体量[グルコサミン(Glc-NH2)含量]に着目し降圧効果との関係を調べた.実験1では, Glc-NH2含量が6.6~11.3mg/gの各種紅麹を飼料に0.3%添加して高血圧自然発症ラット(SHR)に与えたところ, Glc-NH2含量の多い麹ほど降圧効果が強い傾向が認められた.
次に,実験IIではGlc-NH2含量が3.9~15.7mg/gと異なる麹を,それぞれGlc-NH2量が等しくなるような割合で飼料に添加し, SHRに与えたところ,すべての麹群でほぼ同程度の血圧降下がみられた.これらの結果から,紅麹の降圧作用とGlc-NH2含量がほぼ正比例の関係にあり,紅麹のGlc-NH2含量を測定することにより,降圧効果を推定できることが明らかとなった.また, 紅麹の降圧効果は121℃20分の加熱により多少弱くなる傾向が見られたが, 90℃20分では全く変化がなかった.一方, 加熱処理により血清総コレステロール値の低下効果が観察された.