日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
39 巻, 9 号
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  • 合谷 祥一, 有内 尚子, 川染 節江, 山野 善正
    1992 年 39 巻 9 号 p. 749-754
    発行日: 1992/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    膨化食品の断面を紙にプリント(プリント法),または写真に撮って(写真法),これを画像解析して気泡の分布(すだち)を測定することを試みた.
    (1) 塩類あるいは発酵時間を変えて調製したパンのすだちを紙にプリントしたものから,手計算及び画像解析により気泡数を計測した結果,両方法間に有意な相関性が得られた.
    (2) パンの気泡数に対するプリント法と写真法による画像解析結果は良好な相関関係を示した.
    (3) パンの断面を写真法によって画像解析すると,比容積及び気泡の面積率と気泡数は負の相関性を,比容積と気泡の面積率は正の相関性を示したが,気泡数と気泡のHeywood diameterの間には相関性が見られなかった.
    (4) バター含量を変えてスポンジケーキを調製し,その断面のすだちを写真法によって画像解析したところ,気泡数と比容積の間には負の相関性が,比容積と気泡の面積率の間及び気泡のHeywood diameterの間に高い正の相関性が見られた.
    これらの結果から,膨化食品のすだちの研究において,試料の切断面を画像として取り込みコンピューターにより直接解析する方法は,操作が敏速で便利なことから大変有効であることが確認された.
  • タイ国発酵米麺(Khanom Jeen)から分離した橙赤色乳酸菌L622株に関する研究(第2報)
    高尾 哲也, 新村 洋一, 岡田 早苗, 小原 直弘, 内村 泰, 小崎 道雄
    1992 年 39 巻 9 号 p. 755-762
    発行日: 1992/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    Orange pigment was found in the cell of Lactobacillus plantarum L622 (strain L 622) isolated from fermented rice noodle "Khanom Jeen" .The optimum culture condition for pigment formation was incubation at 25°C and pH 7.0 with Na gluconate as carbon source and cystine and methionine as amino acid source. Very little amount of pigment was found in the cell culture with glucose as carbon source. Addition of antibiotics which inhibit the protein synthesis increased the pigment for mation. Pigment formation was related with the rate of growth but not with the amount of intracellular ATP. Pigment forming strain L. plantarum L622 and pigment nonforming strain L 622 CW were not differed in the physiological characteristics. The growh of strain L 622 was stimulated by the addition of cystine or methionine while L622 CW was not. The difference between the strain L622 and strain L622 CW was the pattern of plasmid DNA. Strain L622 retained 5 bands of plasmids, 49kbp. to 12.6kbp. But strain L622 CW had 11.5kbp plasmid instead of 12.6 kbp plasmid. It suggested the pigment production of L622 was related with the plasmid.
  • 中村 哲郎, 宿野部 幸孝, 富澤 章, 重松 明典, 神武 正信
    1992 年 39 巻 9 号 p. 763-769
    発行日: 1992/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    牛乳カゼインを,酵素分解して得られたペプチド溶液の低阻止率RO膜(Low rejection reverse osmosis membrane,以下LRO膜と略記)処理を行い,ペプチド溶液中の一般成分およびアミノ酸組成等への影響について検討した.すべての試料は,回分濃縮(BC)法で濃縮倍率(CF) 3まで処理され,さらに, 1試料だけは定容連続透析ろ過(DF)を行う方法〔(BC+DF)法〕で加水倍率3まで処理された.
    (1) BC法では,窒素成分に比べて灰分の方がより濃縮されたが,(BC+DF)法ではその逆であった.
    (2) BC法では,操作圧力を高くするほど,濃縮液側の窒素成分,灰分および°Bxが高くなる傾向を示した.
    (3) BC法に比べて,(BC+DF)法での遊離アミノ酸の減少率が顕著であった.しかし,親水性と疎水性の遊離アミノ酸の減少率を比較した場合,両者に大きな差は認あられなかった.
    (4) LRO膜処理は,遊離アミノ酸の除去には有効的な手段であったが,苦味ペプチドの除去には効果が認められなかった.
  • 森松 文毅, 木村 修一
    1992 年 39 巻 9 号 p. 770-777
    発行日: 1992/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    豚肉の酵素加水分解物の血漿chol上昇抑制効果についてラットを用いて検討し,次の結果が得られた.
    (1) 豚肉のパパイン加水分解物は,豚肉に比べて血漿chol濃度の上昇を抑制した.
    (2) パパインの添加量を増加させ,ペプチドの産出が多くなるほど血漿chol濃度は抑制された.しかし,完全アミノ酸混合物を想定した酸加水分解物ではその効果は見られなかった.これらのことから,豚肉の酵素加水分解物の血漿chol上昇抑制効果はペプチドによるものと考えられた.
    (3) 酵素処理豚肉摂取時に,血漿リポタンパク質のcholに特徴的な変動は見られず,血漿遊離アミノ酸については大豆タンパク質摂取時と類似してきた.
    (4) これらのことから,畜肉製品において,今までに血漿chol濃度上昇抑制効果を有することが報告されてきた大豆タンパク質や食物繊維などの添加物を使用することなく,畜肉原料のみで血漿cho1の上昇抑制効果のある食肉加工品を作り得る可能性が示唆された.
  • 相関法とインピーダンス測定の利用
    乙部 和紀, 杉山 純一, 堀内 久弥
    1992 年 39 巻 9 号 p. 778-783
    発行日: 1992/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    加工中の食品の物性変化を,連続的且つ簡便に測定することを目的として,電気インピーダンスを2ヶ所で連続測定し,相互相関関数を用いて試料の移動速度を求めて粘度との関連を調べた.
    アミログラフをかく拌器と粘度測定器を兼ねて用い,測定用電極は2本の針及びアース用銅板から成り,針間距離2mmにしてアクリル板に接着したものを用いた.モデル試料として小麦粉懸濁液を使用し,粘度を3段階,容器の回転数を4段階に変化させてインピーダンスの変動波形データを測定した.デジタルスペクトラムアナライザにより解析された2電極間のデータの相互相関関数の最大値から,各々のデータの時間差を算出し,流速を推定した.また,測定位置を容器内壁から4mmと8mmの2ヶ所に設定して,測定位置による影響を調べた.
    その結果,容器内壁からの距離が4mmの位置では粘度と推定流速について明確な関係は得られなかったが,8mmの位置で測定した場合,回転数が15rpm以上に於いて試料の粘度が減少するに従い,推定流速も減少するという関係が得られた.また,小麦粉懸濁液の長時間かく拌による粘度減少を本手法により観察した.
  • 放射伝熱量が一定の場合 ヒータの放射特性に関する研究(第1報)
    佐藤 秀美, 畑江 敬子, 島田 淳子
    1992 年 39 巻 9 号 p. 784-789
    発行日: 1992/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    食品が熱源から受ける放射伝熱量を一定にし,ヒータの放射特性と食品の赤外線の吸収特性の関係が,食品のクラスト層の形成および着色状態に及ぼす影響について検討した.その結果,以下のことが明らかになった.
    (1) ヒータの放射特性の違いは,クラスト層の形成に影響を及ぼした.可視光領域,近赤外線領域に放射ヒータのあるヒータが放射する短波長領域の赤外線は,食品への浸透度が大きいため,表面温度の上昇速度が遅い反面,内部温度の上昇が早かった,そのため形成されるクラスト層の水分含量が高かった.一方,遠赤外線領域に放射ピークのあるヒータが放射する長波長領域の赤外線は,食パンの表面層ではほとんど吸収されるため,表面温度の上昇速度が早い反面,内部の温度上昇温度が遅かった.そのため,形成されるクラスト層の水分含量は,低かった.
    (2) 食品の着色度は,長波長領域の赤外線を放射するヒータほど早かった.ヒータの放射特性は,食品表面の温度に影響を及ぼし,着色速度はその表面温度により決定されることが認められた.
  • 辻 啓介, 市川 富夫, 田辺 伸和, 小畑 裕士, 阿部 士朗, 樽井 庄一, 中川 靖枝
    1992 年 39 巻 9 号 p. 790-795
    発行日: 1992/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    紅麹の降圧作用物質と作用機序を解明する研究の一環として,菌体量[グルコサミン(Glc-NH2)含量]に着目し降圧効果との関係を調べた.実験1では, Glc-NH2含量が6.6~11.3mg/gの各種紅麹を飼料に0.3%添加して高血圧自然発症ラット(SHR)に与えたところ, Glc-NH2含量の多い麹ほど降圧効果が強い傾向が認められた.
    次に,実験IIではGlc-NH2含量が3.9~15.7mg/gと異なる麹を,それぞれGlc-NH2量が等しくなるような割合で飼料に添加し, SHRに与えたところ,すべての麹群でほぼ同程度の血圧降下がみられた.これらの結果から,紅麹の降圧作用とGlc-NH2含量がほぼ正比例の関係にあり,紅麹のGlc-NH2含量を測定することにより,降圧効果を推定できることが明らかとなった.また, 紅麹の降圧効果は121℃20分の加熱により多少弱くなる傾向が見られたが, 90℃20分では全く変化がなかった.一方, 加熱処理により血清総コレステロール値の低下効果が観察された.
  • 中村 アツコ, 高屋敷 由紀子
    1992 年 39 巻 9 号 p. 796-799
    発行日: 1992/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    ウメ未熟果のアセトンパウダーから調製した粗酵素液を用いて,ウメインベルターゼの存在を確認し,その酵素化学的性質に関する実験をした結果,次の結果を得た.
    (1) ウメインベルターゼの最適pHは3.0で,カキその他の果実と比べ低いpHであった.
    (2) 熱安定性は高く, pH 3.0, 1時間定温保持において,水溶液では60℃, 20%エタノール溶液では40℃で,わずかに活性の低下が認められ, 70℃で大部分が失活した.
    (3) pH 3.0におけるKmは,水溶液中でも20%エタノール溶液中でも同じ値, 4.0×10-2Mであった.また最大速度は, 20%エタノール溶液では,水溶液での60%に減少した.
    (4) 3.の結果から,エタノールはウメインベルターゼに対し,非競争的阻害剤として作用することがわかった.
    (5) ウメリキュール中において,スクロースはウメインベルターゼにより加水分解される.
  • 與座 宏一, 太田 英明, 野方 洋一, 石谷 孝佑
    1992 年 39 巻 9 号 p. 800-805
    発行日: 1992/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    貯蔵中のブロッコリーの品質に及ぼす包装資材の効果を検討した.ブロッコリーを4種類(有孔LDPE, 30μm厚LDPE, 60μm厚LDPE, 15μm厚HDPE)の包装資材で包装し20℃で貯蔵したところ,ガス透過性の高い有孔LDPE区では黄化が生じ,色彩計によるL・b/|a|値(黄化指標)も増大した.ガス透過性の低い30μm LDPE区, 60μm LDPE区では異臭の発生と腐敗が起こり,エタノールおよびアセトアルデヒドが蓄積した.酸素透過性14000ml/(m2・atom),水蒸気透過性32g/(m2・day)の特性を有する15μmHDPE区では黄化がかなり抑制され,発酵臭も生ぜず,最も良く外観上の品質が保持されていた.全糖・還元糖およびビタミンCはガス透過性の高い有孔LDPE区ならびにガス透過性の低い30μm LDPE区, 60μmLDPE区でも急速に低下し, 15μm HDPE区でよく保持されていた.
  • 種々のHLB値をもつショ糖脂肪酸エステルの影響
    細見 和子, 魚住 真弓, 西尾 邦樹, 松本 博
    1992 年 39 巻 9 号 p. 806-812
    発行日: 1992/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    種々のHLB(Hydrophil Lipophil Balance)をもつショ糖脂肪酸エステルを添加したパン生地ドウを1~4週間冷凍貯蔵後解凍し,製パン試験,ドウのガス発生膨脹試験,ドウの表面膜張力測定試験,などを実施した.これらの試験の結果,ショ糖脂肪酸エステルのうちHLB15の試料を加えた冷凍貯蔵ドウは,より低いHLBをもつものを加えた冷凍ドウや対照の冷凍ドウに比べてイーストのガス発生力の低下が少なく表面膜の伸展性と張力の低下も少ないことが明らかになり総合的に冷凍変性が少なくなり製パン性の低下が比較的少なくなることが明らかになった.
  • 高崎 禎子, 唐沢 恵子
    1992 年 39 巻 9 号 p. 813-820
    発行日: 1992/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    冷凍生地パンの長期保存による品質の低下の原因について検討するため耐冷凍性イーストを用い,製造工程中及び冷凍保存中における生地中のイースト生菌数と物性の変化を従来のパンイーストを対照に調べ,以下の結果を得た.(1)イーストの生菌数は,食パン及び菓子パン生地ともに非冷凍生地では混ねっ後から,冷凍生地では解凍後より2次発酵終了後まで,ほとんど変化しなかった.(2)冷凍保存中においては, T. delbrueckii を用いた場合にはイーストの生菌数は保存10週までは変化しなかったが,単位イーストあたりのガス発生力は食パン生地においては4週以降緩やかに低下し,菓子パン生地では急激に低下した. S. cerevisiae を用いた場合は,保存 1 週でイーストの生存率は食パン生地で30%,菓子パン生地で70%とかなり低下していた,(3)両イーストともに冷凍保存中に生地の付着性が増加した.(4) 品質検査の結果,耐冷凍性イーストT. delbrueckiiを用いた冷凍生地パンの貯蔵は3週間までが望ましかった.
  • 吉岡 秀一, 受田 浩之, 松本 清, 筬島 豊
    1992 年 39 巻 9 号 p. 821-826
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    ペクチナーゼとグルクロノラクトンレダクターゼを用いたペクチンの特異的定量法を検討した.ペクチンをペクチンエステラ-ゼとポリガラクツロナーゼにより分解し,生成したガラクッロン酸を測定した,ガラクッロン酸はグルクロノラクトンレダクターゼとの反応における補酵素NADPHのA340nmの減少量を測定することにより求あた.ガラクツロン酸に対しては0.039~0.31%,ペクチンに対しては0.05~0.30%の濃度範囲においてグルクロノラクトンレダクターゼの活性との間に直線関係が認められた.トマト及びブドウから調製した水可溶性ペクチンに対する定量値は酵素法とカルバゾール硫酸法との間で良好に一致した.前処理操作を施さないブドウ果汁中のペクチン含量を酵素法により求めた値は,従来のアルコール不溶性固形物(AIS)からの水可溶性画分をカルバゾール硫酸法により求めた値の1.95倍を示した.しかしながらこの差は, AISとして回収されないアルコール可溶性画分を酵素法により求めた値と良好に一致した.この結果は,果実の成熟過程において分解酵素の作用により生じたペクチンの低分子量類縁化合物を,本法により定量し得ることを示唆するものである.
  • 寺下 隆夫, 上田 光宏, 吉川 賢太郎, 河野 又四, 獅山 慈孝
    1992 年 39 巻 9 号 p. 827-835
    発行日: 1992/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    我々は,食用きのことして我が国で重要な位置を占めるエノキタケを対象に子実体形成に伴うキチンとN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)含量およびキチナーゼ,β-N-アセチルグルコサミニダーゼ(β-GlcNAcase)活性の変動について検討した.供試IFO 7777株は, 25日間,液体培養することにより成熟子実体を形成した.本菌のキチン含有量は,乾物量当たりにすると,栄養菌糸で1.0~1.5%,子実体で2.0~4.0%を示し,他の担子菌と比較して低いレベルにあった.菌糸中のキチン含量は栄養菌糸成長期に直線的に増加したが,子実体の成長が始まるとその増加は鈍くなった.一方,培地と栄養菌糸中のGlcNAc含量は子実体の急激な成長時に著しく減少した.このことから,子実体のキチン生合成に対する基質としてのGlcNAcの供給は栄養菌糸と培地の両者からなされるものと推察された.菌糸中のキチナーゼ活性は栄養菌糸の成長時に上昇したが,子実体の成長が始まると上昇は停止した.しかし,この活性は子実体成長の終了時まで高いレベルで維持された.また,培地中の本酵素活性は子実体の成熟時まで上昇を示した.一方, β-GlcNAcaseの活性はキチナーゼの活性変動とは異なり,菌糸中では子実体の成長に伴って低下したが,培地中の活性は著しく上昇した.なお,培地および栄養菌糸に生産されるβ-GlcNAcaseについては焦点電気泳動法による部分精製を試み,それらの性質について検討を加えた.
  • 太田 英明
    1992 年 39 巻 9 号 p. 836-837
    発行日: 1992/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 恵畑 晃
    1992 年 39 巻 9 号 p. 838
    発行日: 1992/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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