ウメ未熟果のアセトンパウダーから調製した粗酵素液を用いて,ウメインベルターゼの存在を確認し,その酵素化学的性質に関する実験をした結果,次の結果を得た.
(1) ウメインベルターゼの最適pHは3.0で,カキその他の果実と比べ低いpHであった.
(2) 熱安定性は高く, pH 3.0, 1時間定温保持において,水溶液では60℃, 20%エタノール溶液では40℃で,わずかに活性の低下が認められ, 70℃で大部分が失活した.
(3) pH 3.0におけるKmは,水溶液中でも20%エタノール溶液中でも同じ値, 4.0×10
-2Mであった.また最大速度は, 20%エタノール溶液では,水溶液での60%に減少した.
(4) 3.の結果から,エタノールはウメインベルターゼに対し,非競争的阻害剤として作用することがわかった.
(5) ウメリキュール中において,スクロースはウメインベルターゼにより加水分解される.
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