日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
フィルム包装貯蔵シイタケの内生エチルアルコールと褐変との関係
〓 一平阿部 二博茶珍 和雄
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1993 年 40 巻 10 号 p. 708-712

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抄録

低密度ポリエチレン(PE)密封包装による褐変抑制機構を明らかにするために,シイタケ組織内のエチルアルコール濃度とシイタケの褐変ならびにPPO活性との関係を調べた.
PE密封包装によりシイタケ組織内でエチルアルコールの蓄積がみられ,その濃度はシイタケの褐変指数との間に有意な相関(r=-0.75**)があった.
空気を通気しているデシケーターヘエチルアルコールを添加するとシイタケの褐変を抑制すると共にPPO活性を著しく抑制し,さらに10%二酸化炭素と1%酸素の混合ガスを通気しているデシケーターへのバブリングによるエチルアルコール添加は空気の場合より,褐変抑制効果が大きかったが, PPO活性に対する抑制効果は前者の場合と同程度であった.
このことよりシイタケをPEで密封包装した場合の褐変抑制効果には,包装内の高濃度二酸化炭素もしくは低濃度酸素によるCA貯蔵効果のみではなく,嫌気呼吸により生成したエチルアルコールのPPO活性の増加に対する抑制効果も関係しているものと推察した.

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