日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
硬化ウメ漬けの萎縮におよぼす果実熟度と水酸化カルシウム添加の影響
乙黒 親男金子 憲太郎小竹 佐知子辻 匡子前田 安彦
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

1993 年 40 巻 10 号 p. 720-726

詳細
抄録
硬化ウメ漬けの萎縮と果実熟度, Ca(OH)2の関係を検討した.
(1) 電子顕微鏡で組織を観察した結果,萎縮果は細胞の萎縮が認められた.
(2) 萎縮果は原料ウメが未熟でCa(OH)2の添加量が少ない果実に発生した.
(3) 萎縮果は歩留りが極端に低下しかつ軟化した.(4) 萎縮果の果皮にはCaが顕著に含まれていたが,硬度の高いウメ漬けでは果皮と果肉のCaがほぼ等量であった.
(5) 萎縮果の果肉ではWSPの割合が顕著に高いが,硬度の高いウメ漬けでは果皮,果肉ともにWSPの割合が低かった.
以上の結果,硬化ウメ漬けにおける萎縮は原料ウメが未熟で, Ca(OH)2の添加量が少なり時に起こることが分かった.また,その原因の一つは果皮と果肉の組織構造の差異にあり,特に果皮の透過性が萎縮果発生の主因になることを推察した.
著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top