日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
加水量の異なるメンおよびパン生地に対する添加物の効果と連続式微小変形多重バイト試験法によるドウの物性の測定
中谷 文子辻昭 二郎
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1993 年 40 巻 9 号 p. 674-681

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抄録

加水量が異なるドウの物性を新たに開発した連続式微小変形多重バイト試験法で測定し検討した.
(1) 加水量の異なるめん用のドウ,一般の製パン用のドウ,家庭用自動製パン機用のドウなどについて,加水量や添加物によるドウの物性の差を連続式微小変形多重バイト試験法で測定し比較検討した.
(2) その結果,これらのドウの物性の差はドウの粘弾性やみかけのかたさや粘弾性などと関連するパラメーターで比較解析できることが示された.
(3) 従来の試験に用いられている小麦粉と水のみのドウとこれに食塩などを添加したドウの物性の差もドウの粘弾性の差として明瞭に示された.
(4) ドウに対する臭素酸カリウムやL-システイン添加の効果もドウの加水量によって大きく異なることが示された.一般の製パン用のドウではドウの物性の改良効果のある臭素酸カリウムも加水量の多いドウでは効果がなく,逆に一般の製パン用のドウではドウを軟化するL-システインは加水量の多いドウではドウの粘弾性を改善する効果があることが認められた.
(5) 家庭用の自動製パン機で製パンした食パンの容積を比較すると,加水量75.0~89.3%の何れの加水量でも5ppmのL-システインを添加したものは無添加のものよりパンの容積が大となることが認められた.一方5ppmの臭素酸カリウムを添加すると無添加のものよりパンの容積は小となった.

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