日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
ペクチン分解物の抗菌作用
竹中 哲夫武藤 修八並 一寿越後 多嘉志
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1994 年 41 巻 11 号 p. 785-792

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抄録

レモンペクチンをペクチン分解酵素と酸により加水分解した.これらペクチン分解物0.1-10%を含む液体培地を用い, pH5.5でE.coliに対する抗菌作用を測定した.未分解ペクチンは抗菌作用を示さないが,両ペクチン分解物は抗菌作用を示し,ぺクチン酵素分解物はペクチン酸分解物よりも強い抗菌作用を示した.両分解物をDEAE-Sephadex A-50及びBio-Gel P-2カラムクロマトグラフィーで分画し, DPが2から4のオリゴガラクツロン酸を単離した.両ペクチン分解物の性状はメトキシル基含量,中性糖含量に大きな差があり,ペクチン酸分解物はメトキシル基,中性糖を含んでいなかった.ペクチン酵素分解物の抗菌作用には, a)非解離のカルボキシル基, b)メトキシル基, c)オリゴガラクツロン酸の重合度が関与していることが明らかになった.すなわち,非解離カルボキシル基の割合が高いほど,メトキシル基含量の高いほど,そしてオリゴガラクツロン酸の重合度は4, 3,そして2の順に抗菌作用が強かった.また,中性糖は,その含量が低く,抗菌作用の主要因ではないと考えられた.また,ペクチン酵素分解物の抗菌作用は,乳酸菌を除く,細菌類に抗菌作用が認められたが,酵母あるいは糸状菌に対する抗菌作用はかなり弱かった.

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