日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
半生冷麺製造における添加エチルアルコールの残存量とその保存効果
遠山 良関村 照吉関澤 憲夫
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1994 年 41 巻 4 号 p. 299-303

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抄録

冷麺製造工程におけるエタノールの残存率及び残存エタノールと冷麺の保存性との関係について検討した.
(1) 冷麺は製造時約100℃の加熱糊化工程を経ているにもかかわらず,製造原料に保存料として添加したエタノールの残存率はかなり高く,乾燥工程を経た段階で86.8%であった.
(2) 乾燥工程でエタノールの減少率が低い原因を確認するため,冷麺を通風と無風の条件下で乾燥して比較したところ,無風乾燥では水分の減少とともにエタノール濃度も減少した.一方,通風乾燥では水分は急激に減少したが,工タノール濃度は逆に僅かに上昇した.
(3) 以上のことから,冷麺製造時の通風乾燥は,エ夕ノールの残存率を高める上で有効であることが分かった.
(4) エタノール残存率と保存性の関係を調べた結果,麺に1.94%のエタノールが残存する場合, 30℃, 14日間の保存でも微生物の増殖はほとんど見られなかった.エタノール含量が低下するにつれて保存性は低下するが,エタノール含量が1.26%と低くても保存温度が15℃であれば45日間経過しても微生物は全く検出されなかった.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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