日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
41 巻, 4 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 山田 哲也, 伊藤 友美, 寺西 克倫, 久松 真
    1994 年 41 巻 4 号 p. 251-258
    発行日: 1994/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    モノグリセリドを添加して炊飯した米飯の物性と微細構造を明らかにすることを目的として,無添加の米飯と比較検討した.
    (1) アミロースと脂質が,表面付近で集中的に複合体を形成し,構造化する事により,比較的硬い殻状区分を形成することが判明した.
    (2) 炊飯時にアミロースの一部は水にいったん溶出されるが,炊飯終了時には水と共に再吸収されることにより,アミロースは表面区分に多いとの作業仮説に対し,分析の結果アミロースは表面よりむしろ内部に多かった.
    (3) 米飯の表面区分は内部より膨潤度が高い値であったことから,米飯粒の密度は均一ではないことが分かった.
    (4) モノグリセリド添加により米飯粒は膨潤が抑制されるが,添加したモノグリセリドは表面区分に偏在していた.
  • 能岡 淨
    1994 年 41 巻 4 号 p. 259-264
    発行日: 1994/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    樹上での生育に伴うギンナン種実の糖質と,糖質代謝の関連酵素活性とを調べた.
    核が硬化し始める時期に,内乳のデンプン含量は顕著に増加した,しかし,その後,増加の上昇度は次第に鈍り,デンプン含量は完熟期において約35%の一定値に達した.これに対し,内乳中の糖含量は相対的に低レベル(約4%)に留まっていたが,外種皮が黄色味を帯びるようになると増加し始め,糖含量は完熟期まで増加し続けて,約7%にまで達した.完熟期のギンナンの内乳中のショ糖含量は,全糖量の約75%を占めた.樹上のギンナン種実が生育し,完熟するまでの間に,外種皮および内乳中のマルターゼ,スクラーゼおよびショ糖合成酵素の活性は,いずれも2つの増加ピークを示した.その第1の活性増加ピークの出現は,核の硬化が完了する時期に一致した.また第2のピークは,外種皮が黄色味を帯びる時期に出現した.
    これらの生化学的変化の重要性と,ギンナンの風味との関連について述べた.
  • 玉井 洋介, 佐々木 康人, 藤尾 高志, 小笠原 武雄, 江頭 祐嘉合, 太田 剛雄, 真田 宏夫, 綾野 雄幸
    1994 年 41 巻 4 号 p. 265-271
    発行日: 1994/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    生理機能を持つ穀物の水溶性画分を,簡易に抽出分離する方法を検討した.ライ麦の外皮を材料とし,水抽出後エタノール沈澱により水溶性成分を高分子画分(WEP)と低分子画分(WES)に分離した.これら標品の生理機能を,コレステロール代謝改善効果を指標として調べた.
    WEP, WESの両標品を高コレステロール飼料に3%レベルで添加してラットに投与し,試験標品無添加飼料を投与した対照群と比較した. WEP群は対照群に比しラットの血清ならびに肝臓コレステロール濃度の上昇を有意に抑制した. WESには抑制能が認められなかった.コレステロール濃度上昇抑制能効果が認められたWEPについて,高トリグリセリド血症抑制作用を,穀物ガム質標品(Gum)と比較検討した. WEP, Gumの両標品を高脂肪飼料に3%レベルで添加してラットに投与し,試験標品無添加飼料を投与した対照群と比較した. WEP, Gumの両群は対照群に比しラットの血清ならびに肝臓トリグリセリド濃度の上昇を有意に抑制した. WEP, Gumの両群間には差は認められなかった.以上のことから,ライ麦フスマを水抽出することにより,ラットの脂質代謝改善効果を持つ標品が容易に得られることが示唆された.
  • 容器詰飲料における成分の保存に関する研究(第4報)
    末松 伸一, 久延 義弘, 西郷 英昭, 松田 良子, 原 京子, 小松 美博
    1994 年 41 巻 4 号 p. 272-276
    発行日: 1994/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    緑茶飲料缶詰の嗜好性に及ぼす飲用温度とカテキン類,アミノ酸類等の成分の影響を調べた.また,緑茶飲料缶詰のフレーバーに及ぼすAsA添加の影響についても調べた.
    40℃, 3分間から80℃, 3分間までの6つの抽出条件にて調製した緑茶飲料缶詰の嗜好性に関する順位付けテストの結果,試飲温度が20℃, 55℃の場合,カフェイン,カテキン類およびアミノ酸類等の緑茶成分の抽出量が中間的な60℃, 3分間抽出品が最も好まれた.試飲温度を10℃に下げると,やや抽出量の少ない50℃, 3分間抽出品が最も好まれた.高温抽出品は高温飲用の方が,逆に低温抽出品は低温飲用の方が嗜好性は高かった.これは抽出温度によるカテキン類の溶出挙動の違い,すなわち抽出温度の低下に伴い水中閾値の低いエステル型カテキンの溶出率が相対的に低下することと,カテキン類の水中閾値の試飲温度依存性が影響しているのではないかと考えられ,飲用条件に応じて抽出条件を設定する必要性が示唆された.
    緑茶飲料中のカテキン類を安定に保つ目的でAsAを添加し液性を弱酸性側にする場合, pH5.05までは風味に影響を及ぼさないことが確認された.
  • 洪 辰換, 小関(山岡) 佐貴代, 安本 教傳
    1994 年 41 巻 4 号 p. 277-280
    発行日: 1994/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    食用油の品質劣化の判定基準として用いられているPOVを近赤外分光分析によって測定した.
    ヒドロペルオキシドのOH基に由来すると考えられる2076nmとトリアシルグリセロールのエステル結合の減少に起因するのではないかと考えられる2052nmを含む5個の波長を選び分析した.得られた検量式は,SEEが1.501meq/kgであり, MCCが0.980であった.未知試料を用い,この検量式から求めたPOVと滴定法により求めたPOVとの間の測定誤差は1.098meq/kgであった.このことから食用油のPOVをNIRによって非破壊的に,迅速に測定できる可能性が示された.
  • 中條 均紀, 森山 裕子
    1994 年 41 巻 4 号 p. 281-286
    発行日: 1994/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    耐熱性の強いB. coagulans胞子の選択計数法を考案するため,選択培地を検討した. TAA培地のpHを4.6に調整し, 50, 55, 60℃で培養した結果, B. coagulansの培養温度が高温ほど集落数は減少したが,増殖は認られた.しかし, B. stearothermophillus, B. circulans, B. licheniformis, B. subtilisは,いずれの培養温度でも増殖が阻害され集落は形成しなかった.次にTAA培地の組成について検討した結果,タンパク源としてはフィトンペプトンが最もすぐれていた.また,ブドウ糖の代りにデキストリンを加えると形成集落数は増加した.
    以上の結果から用いる培地はつぎの要領で調製した.すなわち,フィトンペプトン10g,酵母エキス5g,デキストリン5gおよびリン酸ニカリウム4gを蒸溜水500mlに加熱溶解し, pH 4.6に調整した.別に,寒天20gを蒸溜水500mlに溶解した.これらを121℃, 15分間高圧滅菌した.使用時に両者を合わせ,混和した.
    食品加工用原材料を含む試料液を沸騰水中で30分加熱した後,上記の培地を用い混釈平板培養法で55℃, 5日間培養し,得られた集落から純粋分離した14株を同定したところ,すべてB. coagulansに一致した.
  • 小竹 欣之輔, 畑中 顕和, 梶原 忠彦, 室井 てる予, 西山 浩司, 山川 理, 寺原 典彦, 山口 雅篤
    1994 年 41 巻 4 号 p. 287-293
    発行日: 1994/04/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    山川紫のアントシアニン色素は他のアントシアニン色素に比べて紫味が強く,鮮やかな特徴のある赤色を呈し,組成的にはシァニジンおよびペオニジンを基本骨格とする多種類のアントシアニン色素を含有している.この山川紫の色素原料としての品種改良に際して予め出発品種の色素組成および色素構造を検討し,色素組成変化および色素含量を新たな評価選別基準として改良品種を選抜した.その結果比較的短時間で良好な色調及び色素安定性を有し色素含量,生産性の高い改良品種を得た.中でも九州113号は従来の山川紫を色素含量で約4倍,収量で約2倍上回った.すなわち単位面積当たりの色素生産性が約8倍になり,色素原料としてコスト的に大きく改善できた.また通常の保存,抽出方法においては色素組成変化が少なく,工業原料として使用可能であった.
    現在,これらの改良品種(九州109号,九州113号)は実用的な色素安定性の検討および品種登録のための栽培試験が実施されている.なお,本研究は平成2年度より実施されている農林水産省九州農業試験場畑地利用部甘しょ育種研究室,本坊酒造株式会社および三栄源エフ・エフ・アイ株式会社との農林水産省官民交流共同研究の成果の一部である.
  • 大野 しげ美, 徳岡 敬子, 一色 賢司
    1994 年 41 巻 4 号 p. 294-298
    発行日: 1994/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    低温流通用示温材を開発し,その特性と実際の食品における低温流通用示温材の指示と細菌の増殖の関係について検討を行った.示温材は呈色温度が7℃あるいは13℃であり,その浸透誤差は10%未満であった.また,呈色開始温度に再現性が認められた.示温材の呈色は,低温細菌や一般細菌の増殖以前に起こるため温度上昇の警告となり,食品や原材料等の品質管理において有効な手段になりうると考えられた.
  • 遠山 良, 関村 照吉, 関澤 憲夫
    1994 年 41 巻 4 号 p. 299-303
    発行日: 1994/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    冷麺製造工程におけるエタノールの残存率及び残存エタノールと冷麺の保存性との関係について検討した.
    (1) 冷麺は製造時約100℃の加熱糊化工程を経ているにもかかわらず,製造原料に保存料として添加したエタノールの残存率はかなり高く,乾燥工程を経た段階で86.8%であった.
    (2) 乾燥工程でエタノールの減少率が低い原因を確認するため,冷麺を通風と無風の条件下で乾燥して比較したところ,無風乾燥では水分の減少とともにエタノール濃度も減少した.一方,通風乾燥では水分は急激に減少したが,工タノール濃度は逆に僅かに上昇した.
    (3) 以上のことから,冷麺製造時の通風乾燥は,エ夕ノールの残存率を高める上で有効であることが分かった.
    (4) エタノール残存率と保存性の関係を調べた結果,麺に1.94%のエタノールが残存する場合, 30℃, 14日間の保存でも微生物の増殖はほとんど見られなかった.エタノール含量が低下するにつれて保存性は低下するが,エタノール含量が1.26%と低くても保存温度が15℃であれば45日間経過しても微生物は全く検出されなかった.
  • 加藤 昭夫
    1994 年 41 巻 4 号 p. 304-310
    発行日: 1994/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 山本 隆, 志村 剛
    1994 年 41 巻 4 号 p. 311-318
    発行日: 1994/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 五十嵐 脩
    1994 年 41 巻 4 号 p. 319
    発行日: 1994/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
feedback
Top