耐熱性の強い
B. coagulans胞子の選択計数法を考案するため,選択培地を検討した. TAA培地のpHを4.6に調整し, 50, 55, 60℃で培養した結果,
B. coagulansの培養温度が高温ほど集落数は減少したが,増殖は認られた.しかし,
B. stearothermophillus, B. circulans, B. licheniformis, B. subtilisは,いずれの培養温度でも増殖が阻害され集落は形成しなかった.次にTAA培地の組成について検討した結果,タンパク源としてはフィトンペプトンが最もすぐれていた.また,ブドウ糖の代りにデキストリンを加えると形成集落数は増加した.
以上の結果から用いる培地はつぎの要領で調製した.すなわち,フィトンペプトン10g,酵母エキス5g,デキストリン5gおよびリン酸ニカリウム4gを蒸溜水500mlに加熱溶解し, pH 4.6に調整した.別に,寒天20gを蒸溜水500mlに溶解した.これらを121℃, 15分間高圧滅菌した.使用時に両者を合わせ,混和した.
食品加工用原材料を含む試料液を沸騰水中で30分加熱した後,上記の培地を用い混釈平板培養法で55℃, 5日間培養し,得られた集落から純粋分離した14株を同定したところ,すべて
B. coagulansに一致した.
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