日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
オイスター蛋白質加水分解エキス中のアンジオテンシンI変換酵素阻害ペプチドの分離・精製
松本 清荻久保 温子吉野 貴唯松井 利郎筬島 豊
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1994 年 41 巻 9 号 p. 589-594

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抄録

オイスターのプロテアーゼ分解エキスを製造する過程で最も官能的に優れたエキスを与える酵素剤を選択し,そのエキス(PA-1)中に含まれるACE阻害活性ペプチドの単離と配列決定を行い,以下の結果を得た.
(1) 分解に用いるプロテアーゼとして11種類の市販食品用プロテアーゼを検索し,官能的に最も評価の高かった酵素としてデナチームAPを選抜した.
(2) PA-1はIC50値0.55mg-protein/mlを有していた.PA-1をODS充填カラムに通し, 25%エタノールで溶出することにより,高いACE阻害活性(IC50=0.085mg-protein/ml)を有するペプチド画分(A-3)を得た.画分A-3にはSP-Sephadexによるイオン交換クロマトグラフィーの結果, 3つの主要な活性画分が含まれていた.
(3) SP-Sephadexから0.1Mギ酸アンモニウムで最初に溶出したA画分を,トヨパールHW-40カラムおよび逆相HPLCで分離した結果,多くのACE阻害活性を有するペプチドが含まれていた.
(4) 逆相HPLCで高い活性を有していた画分(AT-B) につきアサヒパックGS-320と逆相HPLCによるリクロマトを行いACE阻害ペプチドを単離した.そのペプチドの構造はLeu-Pheであり, IC50値は126μMであった.

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