日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
アリルイソチオシアネート蒸気を利用した食品保存の可能性
徳岡 敬子一色 賢司
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1994 年 41 巻 9 号 p. 595-599

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抄録

AIT蒸気の食品保存への応用の可能性を検討し,以下の点を明らかにした.
(1) B. subtilis, S. aureus, E. coli, S. enteritidis, S. typhimuriumに対するAIT蒸気のMICは37℃で45~180ng/mlであり,グラム陽性菌よりもグラム陰性菌に対して高い抗菌効果が認められた. L. bavaricusに対しては,上記の5菌種に比べ抗菌効果が低かった.10℃ではAIT蒸気の抗菌効果が増大した.
(2) 胞子形成菌であるB. subtilisの栄養細胞と胞子のAIT感受性には差が認められなかった.
(3) AIT蒸気をカットキャベツ,ポテトサラダ,及びスライスハムの保存に用いた結果,表面積の大きな食品や表面付近で菌の増殖がおこる食品の保存に適していること,また乳酸菌の生育は抑えにくいものの,初発菌数を少なくし低温を併用することにより十分な効果が得られることが確認された.

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