[背景]精神症状の形成には、エネルギー代謝や腸内環境、メチレーション関連代謝等の⽣理学的要因が関与する可能性が⽰唆されている。
[症例]27 歳⼥性。診断は、軽度知的障害に伴う精神病性障害、⽉経前不快気分障害。⽉経前に限局して、精神運動興奮、不安焦燥を認め、基盤となる幻聴・独語・空笑・疎通困難は、⽉経前に増悪。⽉経発来後には意欲低下あり。抗精神病薬と栄養補充への反応は限定的。初診時、有機酸検査ではアラビノース・シュウ酸・乳酸の⾼値およびアコニット酸低値を⽰し、腸内環境とミトコンドリア関連代謝の関与が⽰唆される所⾒あり。エネルギー代謝⽀持後、⽉経前を除く期間の精神症状は軽減し、抗精神病薬は⽉経前のみの使⽤へ減量。⽑髪ミネラル検査で有害⾦属代謝に関する所⾒を認めたため、抗酸化⽀援、肝代謝⽀援を⾏い精神運動興奮は減弱。さらに、メチル化関連代謝を標的とした栄養学的介⼊(5-MTHF、メチルコバラミン、トリメチルグリシン等)を試み、⽉経前増悪は消失し、抗精神病薬は中⽌とした。中⽌後7 ヶ⽉間、軽度の空笑と焦燥を⼀時的に認めた以外、再燃は認めず。
[結論]⽣理学・⽣化学的評価に基づく段階的介⼊は、精神症状の重症度と出現様式に変化をもたらし、機能的転帰に影響を与えた可能性が⽰唆された。