2013 年 45 巻 5 号 p. 366-370
【目的】Asperger障害の女児の臨床的特徴を男女で比較検討し, 診断上の注意点を明らかにする. 【方法】初診年齢, 初診理由となったおもな症状, 受診前の状況, WISC-IIIの結果をカルテより後方視的に比較検討した. 【結果】男児と比べ, 女児は10~15歳の受診が多く, 初診年齢が思春期に集中していた. 女児では睡眠リズム障害や心身症, 適応障害の合併が多かった. また, 女児のWISC-IIIでは動作性下位項目の内差が顕著でなく, 算数や積木下位項目が高値の男児とは異なる認知パターンが示唆された. 【結論】Asperger障害の臨床像には性差があり, 診断や対応にあたり, 性差を考慮する必要があると考えられた.