脳と発達
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小児における抗けいれん剤の血中濃度について
第1編剤形の相違によるジフェニールヒダントインの血中濃度のちがいについて
北原 久枝
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1979 年 11 巻 5 号 p. 406-416

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抄録

我が国の二製薬会社より市販されているジフェニールヒダントイン (以後PHTと略) 散製剤及び錠剤の投与により得られるPHT血中濃度を比較検討した. 1) フェニトイン散とフェノバルビタールを内服中の7才以上12才未満の小児のPHT血中濃度 (S, μg/ml) は, 投与量 (D, mg/kg/日) と相関なく24人中21人 (87.5%) が2.0μg/ml以下であった. 一方同年齢でヒダントール錠を内服中の19人の小児のPHT血中濃度は, 投与量と有意な相関を認め, 回帰直線はS=1.9D-2.65 (r=0.86) であった. 2) フェニトイン散を内服中の33症例に同量またはより少量のPHTを異いる剤形 (a群-ヒダントール錠, b群-粉末化ヒダントール錠, c群-アレビアチン散, d群-アレビアチン錠または粉末化アレビアチン錠) で投与し, 処方変更前後におけるPHT血中濃度の推移を観察した. PHTのS/D比は, 処方変更後全例において増大したが, その増大平均値± 標準誤差はa群: 1.3±0.2 (P<0.001), b群: 1.0±0.1 (P<0.001), c群: 0.45±0.1 (P<0.005), d群: 1.6±0.4 (P<0.015) であった. 3) 粒子サイズの異いる3種のフェニトイン散を試作し, 5例に継続的に投与したところ, 粒子サイズが小さいほどS/D比が大であった. 4) PHTのS/D比は, 安ナカとは無関係, 粒子サイズの大小と関係があるが, その他種々の因子が関連すると思われる.

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© 日本小児小児神経学会
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