抄録
てんかんの発症機構に重要な役割を果していると考えられる大脳辺縁系, とくに扁桃核について, カテコラミン螢光法, 逆行性軸索輸送法, コリン系の酵素組織化学法を組み合わせる事により, ドパミン作動性及びコリン作動性神経の起始細胞の分布を形態学的に追求した.
本実験の結果, 以下のことがあきらかとなった. (1) 扁桃体の求心ドパミン神経は, 中脳腹側被蓋野の背側及び黒質の緻密質背外側部と脚周囲核から投射を受ける. (2) 前脳領域から扁桃体に投射するコリン作動性神経細胞は, 基底核に属する主として大型の細胞体であり, 無名質に濃密に分布する. (3) 一方基底核内に存在する大部分のコリン作動性神経は, 大脳皮質に線維を送るが, 扁桃体へ投射する細胞とは異なるものであると考えられる.