脳と発達
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新生児における行動の個人差と脳の成熟
石川 丹石川 江津子萩沢 正博
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1986 年 18 巻 3 号 p. 186-192

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抄録

新生児の行動と脳の成熟にはどのような関係があるのかを検討した.対象は在胎38~41週の健康新生児25例, 児の行動特徴はブラゼルトン新生児行動評価法 (NBAS) を用いて把握し, 脳の成熟は聴性脳幹反応 (ABR) を指標とした.
ABR潜時とNBAS尺度19 (被刺激性), 14 (抱擁), 16 (干渉によるなだめ), 25 (自己鎮静能力) に有意な相関を認め, 以下のように解釈された.脳の成熟の良い新生児は不快な刺激に泣き易く, 抱かれる時は抱く人の腕にスムーズにはおさまらず, 一方啼泣時は自分でなだまることが少なく人からあやされることが必要で, かつあやされればより反応し易い.このことは成熟の早い児は母親により多くの母性行動を起こさせ, 一方では母親の母性行動に良く反応する, ともいえる.

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© 日本小児小児神経学会
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