脳と発達
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小児交互性片麻痺の年長児の1例
多田 博史三宅 捷太山田 美智子岩本 弘子諸岡 啓一桜川 宣男
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1989 年 21 巻 3 号 p. 283-288

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抄録

小児交互性片麻痺の11歳7カ月男児例を報告した.乳児期より麻痺発作を反復し, 早期より精神運動発達遅滞をきたした.11歳頃より片頭痛が麻痺発作時あるいは独立して見られ, 片頭痛の家族歴を有していた.神経学的にはMyerson徴候陽性, 筋緊張軽度低下, 深部腱反射充進, Babinski反射陽性.歩行時に頸部のジストニア運動や上肢の舞踏病様運動が見られた.発作後に5-HIAAの尿中排泄増多を認め, 133Xe吸入法による脳局所血流量測定およびポジトロンCTで軽度の局所脳血流量の低下が認められた.以上より本症が特殊な片頭痛の1型であることが示唆された.本例にはflunarizineあるいはdiazepam投与が有効であったが, いずれも慣れを生じ易かった.

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© 日本小児小児神経学会
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